日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
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Print ISSN : 2434-2912
第57回日本小腸学会学術集会
セッションID: O3-6
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一般演題3
当院における小腸T細胞性リンパ腫の検討
*髙田 淳久保田 全哉井深 貴士荒木 寛司清水 雅仁
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抄録

【目的・方法】 小腸T細胞性リンパ腫の特徴についてretrospectiveに検討した。対象は当院において2005年より2018年の14年間にダブルバルーン小腸内視鏡検査を施行し、小腸病変を認めた7例(男性6例、女性1例、年齢中央値66歳)。

【結果】 T細胞性リンパ腫は全体の11.3%(62例中7例)で、病型は腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)3例、末梢性T細胞リンパ腫・非特定型(PTCL)2例、T-リンパ芽球性リンパ腫1例、未分化型大細胞リンパ腫1例であった。症状として7例中5例に腹部症状を、4例にB症状を認めた。EATL3例のうち2例は蛋白漏出による慢性下痢で発症しており、発症から診断までそれぞれ3ヶ月、6ヶ月を要していた。一方、EATLの1例とPTCLの1例はそれぞれ穿孔、大量出血で発症し、緊急手術がなされていた。診断時血液検査の中央値は、LDHが190IU/Lで4例は正常範囲内であったが、sIL-2Rは2,290U/mLで全例1,000U/mLの高値であった。Albは3.0g/dlで、3例で3.0g/dlを下回っていた。小腸内視鏡所見としては6例(85.7%)に潰瘍性病変を、5例(71.4%)にびまん性粘膜肥厚を認めた。隆起性病変はPTCLの1例(14.3%)のみで、腸閉塞や腸重積をきたした症例はなかった。4例(57.1%)は上部または下部消化管にも病変を認めた。予後については、7例中6例が病状進行で死亡し、生存日数の中央値は161日であった。

【結論】 小腸T細胞性リンパ腫は潰瘍性病変とびまん性病変の混合を呈することが多く、それに伴う腹部症状を高頻度で認め、予後不良である。

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© 2019 本論文著者
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