日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-7019
Print ISSN : 2434-2912
第58回日本小腸学会学術集会
セッションID: O1-3
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一般演題1
小腸カプセル内視鏡にて経時的変化を観察しえた好酸球性胃腸炎の一例
*今給黎 宗阿部 光市松岡 弘樹向坂 秀人松岡 賢久能 宣昭石橋 英樹石田 祐介船越 禎広竹下 盛重平井 郁仁
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抄録

 症例は70才代女性、主訴は難治性下痢。20XX-1年12月頃より1日6行の水様性下痢が出現した。20XX年4月に前医にて下部消化管内視鏡検査を行い、潰瘍性大腸炎が疑われ、メサラジンを開始されたが、その後も症状持続するため、5月に当科入院となった。当科で行った下部消化管内視鏡検査では、回腸末端に輪状潰瘍、地図状潰瘍、多発びらんおよび全大腸に多発びらんを伴う顆粒状粘膜を認め、回腸末端の潰瘍辺縁、正常と思われる介在粘膜および大腸からの生検にて、25個/HPF以上の好酸球浸潤を認めた。肉芽種や陰窩膿瘍などを認めなかった。小腸病変のさらなる検索のため、小腸カプセル内視鏡検査(SBCE)を行ったところ全小腸に多発びらんと回腸に輪状、帯状潰瘍を認めた。上部消化管内視鏡検査では、十二指腸第2部に多発びらんを認めたが、食道・胃病変はなかった。腹部CTでは、直腸と上行結腸の浮腫性変化と少量の腹水を認めた。以上の所見より、小腸・大腸に主病変を有する好酸球性胃腸炎と診断した。プレドニゾロン30mg/日を開始したところ、症状は徐々に改善したため、漸減した。治療開始から約2ヵ月後のSBCEでは、回腸の一部に活動性潰瘍が残存していたが、治療前と比較して改善傾向であった。

 今回、潰瘍性病変を主体とした好酸球性胃腸炎の一例を経験し、小腸病変の経過をSBCEで観察し得たので、若干の文献的考察を加えて報告する。

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© 2020 本論文著者
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