【背景・目的】クローン病は、狭窄、瘻孔形成、腸管切除へ至る進行性疾患であり、長期予後改善のため、biomarkerや画像モダリティーを用いて適切なタイミングで治療介入を行うTreat to Targetが治療戦略として重要である。MRenterocolonography(MREC)は小腸大腸の活動性評価が可能で予後予測にも有用である。MREC寛解を目標とした治療介入が予後を改善するか、多施設共同非盲検無作為化比較試験により明らかにすることを目的とした。(ClinicalTrials. gov NCT02332356)【方法】16歳以上65歳未満のクローン病で臨床的寛解(CDAI150未満)例にMRECを施行し、中央判定により活動性を認めた症例を無作為化、治療強化を行うTight Control群および、臨床症状により治療変更を行う従来治療群に割り付けた。免疫調節薬(IM)and/or抗TNFα抗体製剤の新規導入または増量により治療強化を行った。主要評価項目は104週後の臨床的再燃、副次評価項目は入院、手術、CDAI変化量、内視鏡所見(SES-CD)の変化、MREC所見の変化、有害事象等とした。【結果】50例が登録され、Tight Control群25例、従来治療群25例に割り付けられた。年齢中央値32歳、手術既往18例、狭窄30例、平均CRP 0.4、CDAI 60.5、SES-CD 9.2、TNF既使用28例で、Tight Control群の治療強化は、抗TNF新規導入12例、増量12例、IM併用4例であった。104週の臨床的再燃はTight Control群16%、従来治療群44%、手術は0%、12%であった。【結論】臨床的寛解のクローン病においてMREC寛解を目標としたTreat to Targetにより予後が改善さることが示された。