日本草地学会誌
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ソルガムの利用について : 第5報 青刈ソルガム中の硝酸態窒素含量,乳牛に対する青刈ソルガム給与ならびに硝酸塩中毒の人工発症試験
相井 孝允
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1975 年 21 巻 2 号 p. 109-115

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抄録
青刈ソルガムの生育段階別NO_3-N含量を求め,また,この青刈ソルガム給与による乳牛の生理状態を調べ,さらに硝酸塩投与による人工発症試験を行ない,以下の結果を得た。1.茎,葉身別にみると茎のNO_3-Nは葉身にくらべて著しく含量は高く,また,それらの含量はいずれも生育が進むにともない減少する傾向を示した。NO_2-N含量は茎葉間においてほとんど差異がなく,その含量もNO_3-Nにくらべると著しく少なく,硝酸塩中毒の観点からは無視してもよいと考えられる。2.これらの青刈ソルガム(NO_3-Nとして300mg/乾物100g)を乳牛1頭当り毎日新鮮重で50kg給与した場合,各乳牛においてみられる反応は区区であったが,しかし,いずれの乳牛の血中にもNO_3-Nが認められ,また,それはそのままの形で尿中に排泄されているようであった。また,この程度のNO_3-Nを含む青刈ソルガムの給与では乳牛に著しい影響を与えないように思われる。なお,血中には,MetHbは検出されなかった。3.乳牛(体重約480kg)にNaNO_3 150gを午前9時午後5時にそれぞれ投与すると,2回目の投与後に硝酸塩中毒の臨床症状が出現した。これは,N_O3-Nとして乾物100g当り500mg含有の青刈ソルガム10kgを乳牛に採食させた場合に相当する。すなわち,給与青刈ソルガム中にNO_3-Nとして50gが乳牛に急性中毒をおこさせる量であるといえる。
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© 1975 著者
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