2009 年 30 巻 1 号 p. 16-20
低年齢の花粉症児は自らの訴えに乏しく,その症状を把握して医療機関を受診したりセルフケアを行うのは保護者である。そこでスギ花粉症患児40名(男児23名・女児17名,年齢 2–12歳・中央値 8 歳)の保護者を対象として症状や対策に関するアンケート調査を行った。花粉症の発症と診断のピークは 3 歳であった。幼児では鼻閉の重症例が多く,くしゃみは全例中等症以下であった。また眼症状,鼻すすり,鼻出血の頻度が高く,皮膚症状や咳を伴うものも多く,多彩な症状がみられた。花粉症を悪化させる要因としては多くが外出や天候を挙げた。生活への影響として約半数が睡眠障害を訴え,特に学童では学習への影響などさまざまな支障を訴えた。対策として,花粉情報の収集は 8 割,マスク着用は 6 割が実行していたが外出制限の実施率は低かった。小児の花粉症では的確な情報収集と正確な診断に基づいて,保護者に生活の実態に即した指導を行う必要があると考える。