中耳真珠腫進展度分類は真珠腫に対する術式選択や術後成績との関連付けを目指して作成された分類であるが,小児後天性真珠腫に関する報告はほとんどない.そこで今回,手術加療を施行した小児後天性真珠腫症例21例21耳に対して中耳真珠腫進展分類2015改定案に基づいた進展度と術後成績について検討を行った.
基本分類における進展度と再発および聴力改善成績との間には有意な相関は認めなかった.一方,副分類では乳突部の蜂巣発育程度(MC分類)において再発を認めた症例はいずれもMC2以上の含気を認めない症例であり,発育程度が良好な症例で再発率が有意に高い結果であった.またアブミ骨病変の程度(S分類)が高度な症例で聴力判定成功率が低下する傾向が認められた.
中耳真珠腫進展度分類は基本分類だけでなく副分類の併用によってより臨床に即した分類となり,小児後天性真珠腫においても術後成績の評価に有用と考えられた.
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