小児耳鼻咽喉科
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最新号
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臨床セミナー
  • 藤本 千里
    2021 年 42 巻 3 号 p. 249-252
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    小児のめまい・平衡障害の診療の特殊性として,患者本人からのめまいの性状や随伴症状を含めた病歴の聴取が時に困難であり,成人に比べ臨床検査の施行が困難であることが挙げられる。小児のめまい・平衡障害の疾患構成は成人とは異なる。小児においては成人に比べ,耳性めまい疾患の割合が低くなる一方で,小児良性発作性めまいや前庭性片頭痛が高い割合で認められる。2021年,バラニー学会と国際頭痛学会は共同で,18歳未満を対象とする,小児前庭性片頭痛,小児前庭性片頭痛疑い,小児反復性めまいの診断基準を新たに報告した。前庭性片頭痛・小児良性発作性めまいのめまい発作における,急性期の治療薬・予防薬のエビデンスレベルの高い治療法は,依然として存在せず,今後の臨床研究の発展が望まれる。

  • 川島 佳代子
    2021 年 42 巻 3 号 p. 253-257
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    アレルギー性鼻炎は低年齢化を示しており,小児アレルギー性鼻炎の有病率が増加している。小児におけるアレルギー疾患は,遺伝的要因からアレルギーマーチとして次々とアレルギー疾患を発症することが多く,互いに合併することが多い。しかし近年,小児におけるスギ花粉症の増加にみられるように環境要因の影響も大きくなっており,難治化重症化する例もみられている。小児期に発症したアレルギー性鼻炎は,自然治癒することが少ないと考えられ,薬物療法でコントロールが困難な場合や,対症的な薬物を長期にわたって継続している症例では,積極的にアレルゲン免疫療法を考慮すべきである。舌下免疫療法は,アレルゲン免疫療法の中でも安全性が高く,長期間服用することが求められるが,小児においても十分に施行することができる。舌下免疫療法は新規感作抑制効果や喘息発症抑制効果も期待されており,今後さらなる検討が必要である。

ランチョンセミナー
  • 片岡 祐子
    2021 年 42 巻 3 号 p. 258-262
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    先天性難聴の早期発見,補聴器・人工内耳装用に伴い,難聴児の聴取能や言語発達は向上し,近年インクルーシブ教育を受ける児が増加している。しかしながら難聴児の聴取は補聴器や人工内耳を装用していても正常聴力児と同等ではなく,言語発達や学習面,友人関係,行動面で問題が生じることは多い。また新型コロナウイルス感染症拡大予防策のマスク着用やソーシャルディスタンスにより難聴児の聴取や読話は困難となり,コミュニケーションにおける支障は増大している。しかしながら,特にインクルーシブ教育を受けている児では,聴取の困難さや抱えている問題を担任教師が正確には把握ができていない場合が多い。学校生活において適切な配慮や支援が受けられるよう情報提供が必要であると考え,当院では教師対象パンフレットを作成している。学齢期の難聴児の多岐にわたる問題に対し,医療,療育・教育,行政等多職種で連携して支援する体制の構築が必要である。

イブニングセミナー
  • 山中 昇
    2021 年 42 巻 3 号 p. 263-270
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    小児耳鼻咽喉科領域の感染症と鼻咽腔細菌叢並びにウイルス感染症は極めて密接な関連があり,その相互影響について深く検討を加えた。小児の鼻咽腔細菌叢の中でも,インフルエンザ菌は,RSウイルス感染症の重症化に関与することが知られている。また,インフルエンザ菌は結膜炎・鼻副鼻腔炎・中耳炎症候群(CROS; Conjunctivitis-Rhinosinusitis-Otitis Media Syndrome)の主要な起因菌としても報告されている。一方で,本菌は薬剤耐性化,バイオフィルム形成や細胞内侵入性などの特性を示し,治療の難渋化を起こす起因菌としても知られている。小児急性中耳炎の治療に関しては,ガイドラインに則って進めていく必要があるが,難治化が想定される場合,そのリスク因子を考慮し治療アルゴリズムをstep-upした治療を考慮する必要がある。また,その際には,難治化のメカニズムを念頭におき,有効性が期待される抗菌薬の選択も重要である。

  • 白井 杏湖, 河野 淳, 塚原 清彰
    2021 年 42 巻 3 号 p. 271-275
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    先天性難聴児に対する早期介入の重要性が認識されているが,東京では早期介入システムが確立しておらず,どのように実現させるかが課題となっている。東京都には新生児聴覚スクリーニング検査後の精査機関が46施設,人工内耳(CI)手術病院も複数存在する。療育機関に関しても,特別支援学校,児童発達支援センター/事業所,病院,民間施設という異なる基盤,あらゆるコミュニケーションモードの中から保護者が自由に選択できる。一方,包括的把握や連携は困難で,早期介入のコーディネートや経過のモニタリングが課題である。

    このような課題解決のため,当院では中核機能としてCIセンターを設立し,多職種が連携して難聴児支援のコーディネートから実践までを行なっている。病院に課せられた新たなチャレンジとして,適切に早期介入につなげるための個別評価に基づくインフォームド・チョイスや,難聴児支援の中核機能としての役割が挙げられる。

  • 太田 有美
    2021 年 42 巻 3 号 p. 276-280
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    当科では初診時から言語聴覚士が児および家族に関わっている。早期から関わることで人工内耳手術後のハビリテーションにスムースに移行していくことが出来る。大阪府下では聴覚支援に関する療育・教育機関が複数あり,児の特性,家庭の状況,保護者の教育方針を考え合わせて選択されることとなる。普通小学校での難聴児受け入れ体制の整備も進んできており,人工内耳装用児の普通小学校進学率は高くなっている。児が多くの時間を過ごす家庭や学校の環境が成長に大きな影響を及ぼすことは言うまでもなく,医療機関での関わりは限定された時間であるが,児の聴覚活用度や発達などの評価,各療育機関・教育機関と連携,保護者への情報提供,保護者の心理面でのサポートといったことを行って,コーディネーターとしての役割を果たすことが出来る。

  • 橋本 亜矢子
    2021 年 42 巻 3 号 p. 281-284
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    ムコ多糖症は先天性代謝異常症の一つである。遺伝子変異により代謝されないムコ多糖が蓄積していく事で様々な症状が出現する。反復性中耳炎,アデノイド増殖症,扁桃肥大で診断前に耳鼻咽喉科に通院している事があり,耳鼻咽喉科医は注意が必要である。特に,臍,鼠径ヘルニア,異所性蒙古斑などがある場合には疑う必要がある。

    その治療には酵素補充療法,造血幹細胞移植,対症療法などがあり,診断から生涯治療の継続が必要となる。患児のQOLが少しでも改善する様,その治療においては保護者,小児科医との連携,協力体制を構築する事が大切である。

    ムコ多糖症の様に,精神発達遅滞を伴う患児の診療には少しのコツと配慮が必要である。保護者への対応についても同様であり,Pediatric medical traumatic stress(PMTS)に配慮した診療を行い,信頼関係を構築する必要がある。

    当院で行っているムコ多糖症外来診療について,耳鼻咽喉科疾患を中心に報告する。

原著
  • 仲野 敦子, 有本 友季子, 宮田 卓, 猪野 真純, 黒谷 まゆみ, 橋本 涼子
    2021 年 42 巻 3 号 p. 285-290
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    2017年10月から2020年3月に,耳鼻咽喉科就学時健診を契機に当院を受診した29症例について,診断された疾患,就学に向けての実施された治療や対応等を検討した。

    両側難聴疑い8例中5例は異常なし,2例は滲出性中耳炎による伝音難聴,1例が両側感音難聴であった。一側難聴疑い17例中3例は異常なし,3例は滲出性中耳炎による伝音難聴で,一側感音難聴が7例,両側感音難聴が4例であった。一側感音難聴のうち3例に内耳奇形を認め,両側感音難聴のうち2例は補聴器装用に至った。音声言語障害疑い5例中2例は未熟構音,その他側音化構音,小児声帯結節,言語発達遅滞であった。

    就学時健診での聴力検査は,学校生活に支障となるような疾患のスクリーニング及び就学に向けての支援の準備において意義があると考えた。就学時健診から就学までは約半年であり期間も短いため,学校への引継ぎやことばの教室との連携も重要と考えられた。

  • 西村 忠己, 細井 裕司, 森本 千裕, 北原 糺
    2021 年 42 巻 3 号 p. 291-296
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    軟骨伝導補聴器は,従来の補聴器で対応が難しい外耳道閉鎖症などの症例で効果が期待され,2017年の発売以降普及が進んでいる。一方その導入に当たっては装用者の経済的な負担を軽減する公的な支援が望まれる。軟骨伝導補聴器に対する公的支援の現状について当院で軟骨伝導補聴器のフィッティングを行った20歳以下の66症例で調査した。両側性の難聴が27例で,うち16例が身体障害者に該当した。それらの例ではほぼ全例が特例補装具として支給を受けていた。一方身体障害者に該当しない例では半数弱が軽中等度難聴児に対する助成制度を利用し差額自己負担による購入が可能であった。片側性の難聴は39例で,大多数が全額自己負担で購入していた。公的支援を受けることができたかどうかは居住地域による差を認めた。また公的支援が受けられないことで購入を断念した症例も認めた。公的支援の拡大や居住地域による差の是正が必要であると考えられた。

  • 宮本 真, 齋藤 康一郎
    2021 年 42 巻 3 号 p. 297-304
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    小児の喉頭は,成人に比べサイズが小さく,年齢とともに成長するという特徴がある。従って,気管挿管に代表される気道へのアプローチに際し,小児の喉頭のサイズを的確に把握することの臨床的意義は大きい。今回われわれは,思春期前の小児において全身麻酔下に喉頭微細手術を施行した術中の喉頭写真から,声帯と声帯膜様部の長さを計測し,これらと手術時の年齢,身長,体重との関係について検討した。対象は生後1ヵ月から5歳6ヵ月の男女計6例,延べ8回の手術である。気管チューブのODをもとに計測した声帯と声帯膜様部それぞれの長さは,3.88 mm~8.83 mm,3.32 mm~6.07 mmであった。単回帰分析と重回帰分析を行った結果,対象児の年齢が声帯長と膜様部長を推定する変数であった。本検討により,小児における喉頭のサイズの推定ならびに適切な気管チューブの選択に,年齢が指標となる可能性が示唆された。

  • 坂井田 麻祐子
    2021 年 42 巻 3 号 p. 305-312
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    小児の気道異物事故は毎年発生し,窒息死亡例もある。三重県津市内の全保育園・こども園62施設に対し,気道異物に関する認識や事故予防対策の現況を調査するアンケートを実施,53施設(85.5%)から回答を得た。気道異物で乳幼児が死亡すること,事故発生時の症状および対処法,気道異物の原因食物について,多くの園で十分周知されていた。一方で,全園で乾燥豆類が危険と認識しつつ,節分時の福豆は17園(32.1%)で与えていた。プチトマトの栽培は8園(15.1%)で行われていた。保護者への勉強会を実施している園は僅か1園のみであった。以上より,気道異物に関する知識が予防対策に繋がっていないこと,保護者への指導が不十分であることが明らかとなった。啓発活動を行う際には,知識の提供とともに事故の危険性を強く印象づける工夫をし,具体的な事故予防策の提案も行う必要があると考える。

  • 中西 わか子, 内山 美智子, 川脇 和世, 物部 寛子
    2021 年 42 巻 3 号 p. 313-319
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    ダウン症児の滲出性中耳炎はしばしば,反復性,難治性である。2006年から2018年の間に当院で両側遷延性滲出性中耳炎に対し鼓膜換気チューブ留置術を行ったダウン症児は20名であった。本検討はそのうち合併症・後遺症を生じた10名を対象に治療経過を検討した。合併症・後遺症の内訳は10例20耳中,耳漏7耳,鼓膜穿孔8耳,癒着性中耳炎1耳,学童期両側軽度難聴残存4名であった。ダウン症児は外耳道が狭いことが多く,低年齢での初回手術では径の小さい短期型チューブが多く選択されていた。その結果,チューブの早期脱落,滲出性中耳炎の再発,再手術,合併症・後遺症という結果となっていた。現在は小児滲出性中耳炎ガイドライン2015も参考に,チューブ留置術は慎重に判断し,補聴器も選択している。残存した鼓膜穿孔に対しては学童期に積極的に鼓室形成術を行い,穿孔の閉鎖を得ている。

  • 杉本 寿史, 永井 理紗, 波多野 都, 吉崎 智一, 武居 渡
    2021 年 42 巻 3 号 p. 320-325
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    石川県では平成22年に「いしかわ赤ちゃんきこえの相談支援センター(みみずくクラブ)」が開設された。このセンターは保護者に対して3回の個別相談を行うことで難聴児を療育へつなぐ橋渡しを行っており,開設してから11年目を迎え96名の難聴児を受け入れてきた。今回このセンターをより良いものにするために,平成22年度から平成30年度に当センターに紹介された保護者を対象にアンケートを行い,今後の改善点について考察した。このセンターに対するアンケート結果は概ね良好であったが,下記の項目が今後検討すべき課題と考えられた。(1)システム:精密医療機関との連携強化。養育中の保護者に参加してもらうことも検討。(2)医学的情報提供:説明用の資料を保護者に提供し,資料にそって網羅的に説明する。(3)療育とサポート:療育担当者に参加してもらうことも検討。難聴児へのサポートに関する情報をまとめた資料を保護者に提供する。

症例報告
  • 西前 徳繁, 山田 健太郎, 八尾 亨, 三輪 高喜
    2021 年 42 巻 3 号 p. 326-329
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    PFAPA症候群は周期性発熱,アフタ性口内炎,頸部リンパ節炎,咽頭炎を主症状とする疾患である。今回PFAPA症候群と診断された症例を経験した。症例は5歳男児,年に数回の扁桃炎を繰り返しており,抗生剤投与を行ったが効果がなく,ステロイド投与が著効したためPFAPA症候群が疑われ,手術加療目的に当科紹介となった。両側口蓋扁桃摘出術を施行後,4年間経過観察を行っているが,周期性の発熱は認めていない。PFAPAの治療法として,副腎皮質ステロイド,シメチジンなどの薬物療法と,口蓋扁桃摘出術との有益性に関する議論が展開されてきたが,近年の報告では口蓋扁桃摘出術を推奨する報告が多く,米国からの小児口蓋扁桃摘出術診療ガイドラインによると,PFAPA症候群を含むいくつかの病態は,watchful waitingの基準には含まれていない。自験例を報告するとともに,診療ガイドライン,システマティックレビューを含め,文献的考察を行ったので報告した。

  • 濵田 昌史, 中 智美, 小田桐 恭子
    2021 年 42 巻 3 号 p. 330-335
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    小児外耳道真珠腫は極めてまれであり,先天奇形症例以外での報告は乏しい。今回われわれは,外耳道狭窄を伴わない原発性と考えられた3症例を報告した。症例はそれぞれ健常な13歳女児と6歳女児,軽度の精神発達遅滞を有する11歳女児である。3例ともに遷延する外耳炎に対して近医で保存治療を受けるも改善なく,紹介時には外耳道にポリープ様肉芽が充満していた。側頭骨CTではいずれも外耳道下壁を中心に骨びらんが確認された。3症例とも組織検査も兼ねた全身麻酔下の手術を施行,外耳道病的皮膚とびらん骨の削除を行い,皮膚欠損部はコラーゲンスポンジで被覆した。ただし,急速な病変の増大が見られた6歳例では,術中迅速診断により扁平上皮癌が疑われたため,永久標本の診断結果を待って2期的手術を行った。外耳道真珠腫は時に扁平上皮癌との鑑別が難しく,小児においても,組織学的診断も兼ねたより早期の手術を検討すべきと思われた。

  • 奥羽 譲, 山口 宗太, 富里 周太, 高橋 希, 小宅 功一郎, 坂本 謙一, 大隅 朋生, 富澤 大輔, 加藤 元博, 守本 倫子
    2021 年 42 巻 3 号 p. 336-341
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    骨髄肉腫(MS)は,髄外に腫瘤を形成する骨髄性悪性疾患である。腫瘤はあらゆる部位に発生するが,鼻副鼻腔に形成することは比較的稀である。鼻副鼻腔に腫瘤を形成したMSは,臨床症状や内視鏡所見のみでは非悪性疾患(アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎)と類似しているため,診断が遅れてしまう事がある。診断の遅れは,腫瘤形成に伴う臓器障害のリスクがあるため,早期の診断が重要である。今回我々は,鼻副鼻腔に腫瘤を形成した小児MSの1例を経験した。症例は5歳の男児,近医で鼻副鼻腔炎として治療されていたが,治療抵抗性であり次第に眼球突出を認めたため当科紹介となった。内視鏡検査では鼻粘膜の腫脹を認めるのみであったが,画像所見から早期より悪性疾患を疑い,血液腫瘍科医と連携をとりつつ組織生検を行った。採取した検体を適切に処理し診断を進めることで,MSと診断し得た症例を経験したので,文献的な考察を加えて報告する。

  • 大湊 久貴, 山木 英聖, 熊井 琢美, 岸部 幹, 高原 幹, 片田 彰博, 林 達哉, 原渕 保明
    2021 年 42 巻 3 号 p. 342-348
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    バーキットリンパ腫は高悪性度B細胞リンパ腫である。小児では発熱や体重減少などの全身症状を呈することは少なく,原発部位による多彩な症状が出現するが,これらの症状を契機に病院受診されることが多い。鼻副鼻腔を原発とする悪性リンパ腫は非常に稀であるが,今回,急速な視力障害を呈した小児副鼻腔バーキットリンパ腫の2例を経験したので考察を加えてここに報告する。

    両症例ともに急速な視力障害の症状を認めた。画像検査にていずれも鼻副鼻腔に腫瘤性病変を認め,生検にてバーキットリンパ腫の診断となった。化学療法を施行し,両症例とも完全寛解の状態であるが,1例では視力の改善が得られなかった。バーキットリンパ腫は急速に進行し,周囲臓器へ浸潤傾向を示すため早期の診断・治療が重要である。

  • 竹内 万彦
    2021 年 42 巻 3 号 p. 349-354
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    原発性線毛運動不全症は新生児期の呼吸障害の原因となる。1歳未満で原発性線毛運動不全症が疑われ,診断に至った2症例を経験したので報告する。症例1は満期産で出生した生後2か月女児。日齢1に内臓逆位と広範囲な無気肺の所見を認め,NICUで管理された。心エコー検査で明らかな先天性心疾患はなかった。生後2か月で当科に紹介受診となった。遺伝学的検査の結果,DNAH5に複合ヘテロのバリアントを認めた。症例2は生後3か月の女児。満期産で仮死なく出生した。日齢2,抜管後より徐々に鼻汁や喀痰が増加し,吸気性喘鳴や陥没呼吸の増強を認め再挿管となった。生直後より持続する気道分泌過多と遷延性の無気肺のため,原発性線毛運動不全症の精査を行った。遺伝学的検査では,患児にDRC1に27,748 bpの両アレルの欠失を認めた。今回の2例は生直後から遷延する呼吸障害のために担当の小児科医が本症を疑ったことから診断に至った。

  • 鈴木 真, 任 智美, 奥中 美恵子, 渡部 舞子, 巽 恵美子, 阪上 雅史, 都築 建三
    2021 年 42 巻 3 号 p. 355-360
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    POR欠損症は先天性副腎酵素欠損症の一つである。本疾患と中耳疾患との関連性を示す報告はほとんどない。今回,耳小骨奇形を合併したPOR欠損症の1例を報告する。

    2歳10か月の男児。生下時に外性器異常のため精査され,POR欠損症と診断された。母親が言語発達遅滞を心配し,兵庫医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科に紹介受診となった。

    ASSRは4分法で右56.3 dBHL,左82.5 dBHL,ABRは右50.0 dBnHL,左40.0 dBnHLでV波を認めた。側頭骨CTで両側キヌタ骨の長脚が細く,耳小骨奇形が疑われた。新版K式発達検査では言語・社会機能の発達遅滞を認めた。

    オーディトリーバーバル法(AVT)開始後,語彙数は増加した。また右耳に骨導補聴器を装用したところ,装用閾値は20 dBと良好であった。耳小骨奇形に対し左アブミ骨手術,右鼓室形成術III型を施行し,聴力の改善を認めた。

    本症例においても耳小骨奇形は手術加療が有効であり,AVTで年齢相応の言語機能を獲得できたことから,聴力活用は十分に可能であると考えられた。

  • 加藤 照幸, 荒井 真木, 杉山 夏樹
    2021 年 42 巻 3 号 p. 361-368
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    小児鼻性眼窩内合併症は,抗菌薬治療が奏功し外科的治療を要することは少ない。また,眼窩病変は片側性であることが多く両側性であることは稀である。今回われわれは,保存的加療に抵抗し内視鏡下鼻内手術を必要とした,両側鼻性眼窩内合併症を経験した。症例は12歳,男児。3日前から頭痛,40℃の発熱,両側眼瞼腫脹,左眼の視力低下を生じ,近医内科で眼窩周囲蜂窩織炎と診断され当院紹介入院となった。CT,MRIで左眼窩骨膜下膿瘍,右眼窩蜂窩織炎を認め,視力は右0.9,左0.6であった。鼻性眼窩内合併症に対し,スルバクタム/アンピシリン点滴するも効果なく眼瞼腫脹は悪化し,入院翌日に両側内視鏡下鼻内手術を施行し膿瘍をドレナージした。術後経過は良好で眼瞼腫脹は消失,視力は両目1.5に回復した。本症例は,両側病変であり外科的治療を必要とした稀な症例であった。

  • 加藤 照幸, 荒井 真木, 杉山 夏樹
    2021 年 42 巻 3 号 p. 369-374
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    類上皮血管腫は紅色丘疹や結節が若年成人ないし中年女性の頭頸部の皮下に好発するが,小児の鼻腔に発生することは極めて稀である。今回,鼻出血を契機に発見された小児鼻腔類上皮血管腫の1例を経験した。症例は5歳,男児で左鼻腔内の中鼻甲介下端に大きさ15 mmの暗赤色易出血性腫瘍を認めた。全身麻酔下に鼻内内視鏡を用いて鼻腔腫瘍摘出手術を施行した。病理組織所見で,類上皮様に腫大した血管内皮細胞が増殖し血管腔様の構造をとり内部に多数の赤血球を認めた。免疫組織学的染色で腫瘍細胞に血管内皮マーカー(CD34)陽性が確認され,類上皮血管腫の診断となった。治療は手術による完全切除であるが再発例も多く報告されていることから術後の定期的経過観察が重要である。術後2年経過し現在のところ再発は認めていない。

  • 高成田 祐希, 津川 二郎
    2021 年 42 巻 3 号 p. 375-382
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    症例は手術時6歳の女児。胎児MRI検査で先天性上気道閉塞症候群(CHAOS)と診断された。在胎34週6日にEXIT下に気管切開術を行い娩出された。術前の硬性気管支鏡検査では声門下腔に99%の狭窄を認め,先天性声門下腔狭窄症(Myer-Cotton分類Grade III)と診断した。気管切開チューブの抜去を目的にpartial cricotracheal resection(PCTR)を施行した。術中所見では輪状軟骨の外観は細く,内腔は軟骨が全周性に肥厚して後壁側にピンホール状の開存を認めるのみであった。輪状軟骨前壁,側壁と気管切開孔までの気管を合併切除し,甲状軟骨気管吻合による気道再建を行った。術後35日目まで特殊Tチューブを留置し,入れ替えた気管切開チューブを術後52日目に抜去した。術後1年が経過し,気道開通は良好であり,嚥下機能および,声量が小さいものの発声機能は保たれていた。

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