2013 年 34 巻 3 号 p. 229-233
アレルギー疾患の発症・増悪因子を解明することは,発症予防および難治化を防ぐうえで重要である。気管支喘息の発症に関わる候補遺伝子はこれまで多数報告されている。我々も,Th2 サイトカインである IL–4 や IL–13の細胞内信号伝達因子である STAT6 の GT リピートに関する多型を報告した。しかしながら,多因子疾患では環境要因との関わりを直接結びつけることは難しい。そこで,後天的に遺伝子修飾を変え,転写を制御する機構であるエピジェネティクスに注目し,IL–12プロモーターの DNA メチル化に関して検討し,その一部を報告した。一方,臨床的に発症要因を検討する手段として出生コホート研究が重要である。前橋市で実施しているコホート調査は 6 年目の解析が終了し興味深い結果が出ている。会長講演では,これらのデータを交えてアレルギー疾患の発症因子について言及した。