小児耳鼻咽喉科
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ランチョンセミナー 1―小児急性中耳炎・鼻副鼻腔炎診療ガイドライン
小児上気道感染症への対応—小児急性中耳炎と鼻副鼻腔炎診療ガイドラインについて—
工藤 典代
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2013 年 34 巻 3 号 p. 306-311

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抄録

  小児急性中耳炎と急性鼻副鼻腔炎はともに急性上気道炎に属する感染症である。両疾患の診療には感染症としての考え方に共通点がある,細菌が起炎病原体の場合の抗菌薬治療も同様である。両疾患とも肺炎球菌とインフルエンザ菌が 2 大起炎菌であり,2 菌種ともに薬剤耐性化が進んでいる。両疾患の診療ガイドラインには,さらに耐性化が進まないよう,エビデンスに基づいた抗菌薬治療が推奨されている。治療の流れは,臨床症状と局所所見から軽症・中等症・重症の 3 段階に分類し,ウイルス感染が疑われる軽症例の第一段階では抗菌薬非投与で経過観察とする。細菌感染症の場合は AMPC を第一選択薬とする。耳処置や鼻処置に関してのエビデンスは乏しいが,臨床医の経験からこれらの処置は重要と考えている。診療ガイドラインは診療を拘束するものではなく,診療にあたり臨床的判断を支援するためのものであり,活用されることを願っている。

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© 2013 日本小児耳鼻咽喉科学会
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