小児耳鼻咽喉科
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原著
小児の安静時唾液分泌量の検討
工藤 典代澤井 明香黒柳 令子
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2014 年 35 巻 1 号 p. 17-20

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抄録

  幼稚園児と小学生,中学生の安静時唾液分泌量を測定し,学年別と男女別で検討したので報告する。測定は午後の時間帯を使用し,集団の場で,コップに 5 分間唾液を採る吐唾法にて実施した。対象者は 4 校で,幼稚園年長児96名,小学 2 年生72名,3 年生143名,4 年生61名,6 年生114名,中学 2 年生80名である。
  結果は,平均値で幼稚園年長児0.43 ml/分,小学 2 年生0.74 ml/分,小学 3 年生0.72 ml/分,4 年生0.71 ml/分,6 年生0.70 ml/分,中学 2 年生0.66 ml/分であった。正確な測定結果が得られなかったと思われる幼稚園を除くと,学年が上がるにつれて安静時唾液分泌量が減少する傾向にあった。年長児では集団の場では正確な測定ができていない可能性が示唆された。また,幼稚園児を除き,男女別に検討すると,男児の平均が0.797 ml/分,女児の平均が0.620 ml/分となり,p<0.001で統計学的有意差がみられた。この研究結果から,小児の唾液分泌量は成人の安静時唾液分泌量と比較すると,2 倍以上と考えられた。

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© 2014 日本小児耳鼻咽喉科学会
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