小児耳鼻咽喉科
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原著
プロプラノロールが有効であった鼻腔乳児血管腫の1例
赤木 祐介丸中 秀格折田 頼尚
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2015 年 36 巻 1 号 p. 27-30

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抄録

  尾翼腫脹・反復性鼻出血が主訴の 3 カ月男児の鼻腔乳児血管腫に β–blocker の一種であるプロプラノロールを使用し縮小効果が得られた症例を経験したので報告する。本症例は生後 2 カ月頃より鼻出血を反復し,3 カ月になった頃から右鼻翼が膨隆してきたため当科紹介となった。右鼻前庭部に乳児血管腫を認めたため,プロプラノロールを 1 mg/kg/日で開始し,治療開始後 7 日目で 2 mg/kg/日まで増量した。内服開始後 1 カ月頃より血管腫の縮小傾向を認め,鼻出血の回数も減少傾向になった。以後,現在 1 年内服を続けているが血管腫は縮小したままであり,再増大の傾向無い。今までの治療であるステロイド治療,硬化療法,レーザー焼灼術,外科的切除術などよりも低侵襲であり,整容面も考慮するとプロプラノロールは小児血管腫治療の第一選択の一つとなりうると考えられた。

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© 2015 日本小児耳鼻咽喉科学会
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