小児耳鼻咽喉科
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シンポジウム 2―小児の嚥下障害への対応
小児の嚥下機能評価
森 正博
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2016 年 37 巻 3 号 p. 256-262

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抄録

 嚥下障害で受診する子どもには,哺乳障害で経口摂取経験のない子どもや意思疎通の困難な子どもも含まれる。的確な嚥下機能評価は,子どもの摂食環境や嚥下訓練,さらに誤嚥防止術の選択など適切な医療介入の決定に必要不可欠である。小児の嚥下機能評価で重要なことは,事前の情報収集である。これにより,嚥下造影検査(VF)の環境や条件を適切に準備することができる。キアリII型奇形の双胎姉妹のVFから嚥下障害の病態の違いが確認され,姉妹に違った嚥下訓練が開始された。また子どもの嚥下障害は発達途中の障害のため,身体・精神の発達の遅れによる影響もある。経時的な嚥下機能評価と身体・精神の発達評価を行うことができた,キアリII型奇形2症例とCHAREGE症候群1症例の結果から,経時的な嚥下機能評価と身体・精神の発達評価は,嚥下障害の子どもへの適切な医療介入の決定に重要であった。

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© 2016 日本小児耳鼻咽喉科学会
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