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むだ時間は, パイプ中の流体移送やベルトコンベアによる物体輸送など様々な場面に存在し, 制御系設計を困難とする原因の1つとなる. 有限次元システムに対して体系化された制御系設計論をむだ時間系に拡張する試みが既にいくつかなされている. その一方で, システムの入出力関係から安定性について議論をする際に重要な役割を果たす受動性や受動性に対するKYP補題に基づいた制御系設計法は状態むだ時間非線形システムに対して提案されていない. 本研究では, 有限次元システムに対して導出されたKYP補題を状態むだ時間非線形システムへ拡張し, 状態むだ時間非線形システムに対する受動性の性質を検証する. また, 状態むだ時間非線形システムに対する受動化手法を提案する.