抄録
トレーサーガス法は,一般住宅などの建築空間における換気回数測定法として確立されてきたが,その汎用性の高さから,近年では建築物に限らず,衣類,靴,家庭用冷蔵庫などの比較的小規模な空間へも応用されている。従来,これら小規模空間の換気回数は主として製品性能評価の指標として利用されてきた。しかしながら,小規模空間は臭気物質や揮発性化合物の発生・滞留・放散の場ともなり得ることから,換気回数はそれらの挙動を理解する上で重要な環境指標となる可能性がある。本稿では,トレーサーガス法を用いて小規模空間の換気回数を測定した既往研究を整理・解説するとともに,小規模空間の換気特性を把握する意義および室内環境分野への応用可能性について考察する。