異文化コミュニケーション
Online ISSN : 2436-6609
Print ISSN : 1342-7466
文化と議論に関するレビュー
鈴木 志のぶ
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 23 巻 p. 1-32

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抄録
本レビュー研究は、東アジアと欧米の議論の差に焦点を当て、これまでの印象的・哲学的研究の主張と経験主義的研究から得られた知見の間の差異を明らかにする。そうすることで本研究は、欧米との比較において、東アジアの人々がどのように議論を捉え、どう議論にアプローチするかという点に関する正確な知見を提供する。本研究はまず、東アジア圏のコミュニケーションに関わる伝統的な価値観である「和」の概念を、欧米の伝統的な価値観である「個の主体性」の概念と対比させて違いを論じる印象的・哲学的研究をレビューする。第二に、本研究は、それら価値観の差を、ホールの高・低コンテクスト・コミュニケーションの概念と関連付け、議論研究におけるその意味を説明する。次に、印象的・哲学的研究の主張が(a)推論方法や議論志向性といった議論に関連する認知の差、および(b)議論の形態・スタイル・方略といった議論の特徴の差、という点で、経験主義的研究の結果によってどの程度裏付けられているか、を明らかにする。その結果、経験主義的研究は印象的・哲学的研究の主張の一部、すなわち東アジアと欧米を比較した際の議論志向性の違い、帰納的—演繹的議論形態の差、簡潔—複雑な議論スタイルの差、をほぼ一貫して裏付けていることが明らかになった。一方、印象的・哲学的研究の他の主張、すなわち、直感的—分析的推論方法の差、非直線的—直線的という議論の形態の差、情緒的—合理的訴えかけ方略といった点における差に関しては、経験主義的研究の裏付けは一貫していないことが明らかになった。本研究による貢献と今後の研究で明らかにされるべき問題を指摘し、本稿は締めくくられている。
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© 2020 異文化コミュニケーション学会および本論文著者
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