抄録
銅の後媒染によるススキの緑系染色の基礎研究として、酢酸銅媒染と硫酸銅媒染による発色比較、ススキの部位 (茎、葉、花穂と根を除く全草、花穂) による発色比較、採取時期による発色比較を行った。媒染剤は酢酸銅を用いる方が、硫酸銅の場合より主波長 (nm) が短波長寄りに発色し、Y値 (%) は酢酸銅の方が低く、刺激純度 (%) は酢酸銅の方が高いことが分かった。従って、酢酸銅の後媒染により若干緑味が増しやや濃くやや鮮やかな発色を得らることから、酢酸銅の方が適することが分かった。部位別比較において茎では緑味のうすい鼠色を、葉では渋味の緑黄色を、全草では破色調の浅い黄緑色を、花穂では茶味のオリーブ色を得た。採取時期はススキが色褪せる秋を除き、若葉の春と緑濃い夏、次世代が芽吹く冬、天気の良い乾燥した日に、新鮮な緑色のススキを選び、根本から刈り取り直ちに天日乾燥させて用いる。こうして得た染色布の染色堅牢度は良好であった。