抄録
群馬県富岡市の富岡製糸場が世界遺産に登録直前になっており、実現すれば明治以来の製糸工場にかかわる数々の建造物、機械施設が重要な産業遺産として実物保存されることが期待されている。さらに周辺の蚕糸関係産業遺産とともに登録されれば、蚕糸については世界遺産を見れば分かるという一般常識が形成されると思われる。
このような状況の中で群馬県の世界遺産に対する取り組みは、世界遺産推進室を中心に行われているが、同室の富岡製糸場に関する繰糸機の規模・能力を表す単位(台、釜)にこれまでの我が国蚕糸関係機関、団体が共有していた使用基準と異なる使用基準が採用されている模様である。
このことについて、別の考え方が生まれた背景を推察し、世界遺産推進関係部署においてもこれまでの我が国蚕糸関係機関・団体と同一基準を採用するよう求めたい。