小稿の目的は、丹後織物産地における出機の戦後展開と最近年の出機の実態を解明することである。研究の方法は、丹後産地に関する先行研究の整理と丹後織物工業組合及び出機からの聞き取り調査である。結論は以下の通りである。1つは、丹後織物産地の展開は、二大織物部門、即ち後染と先染によって担われてきた。なお、先染部門の担い手は、京都(西陣)の親機に対する出機であった。2つは、出機の実態は作業上、及び採算性からもきわめて厳しい状況下での展開となっていた。なお、丹後地域の出機は、京都(西陣)の親機に対して被支配的な関係が継続しているとみてよい。