日本シルク学会誌
Online ISSN : 1881-1698
Print ISSN : 1880-8204
ISSN-L : 1880-8204
学術論文
明治期日本における蚕体解剖模型の国産化
齊藤 有里加 , 高橋 美貴, 横山 岳
著者情報
ジャーナル フリー

2026 年 34 巻 p. 13-20

詳細
抄録
本研究では,近代日本の蚕糸業教育における視覚教材の役割を明らかにすることを目的として,東京農工大学科学博物館に収蔵されている蚕体解剖模型を対象に形態分析および文献調査を行った.模型の構造および造形様式をフランスのルイ・オズー工房製模型と比較した結果,日本の模型は三分割構造や手描きによる着彩などの独自の特徴を有しており,海外製模型とは異なる設計であることが確認された.さらに文献調査から,明治後期には模型製造者山越長七をはじめとする国内業者によって蚕体模型が製造され,教育機関向け教材として流通していたことを示した.以上の結果は,蚕体解剖模型が近代日本の蚕糸業教育において科学知を視覚的に伝達する教材として利用されていたことを示唆するとともに,物質資料の分析を通じて近代日本の蚕糸学における知識伝達の一側面を明らかにするものである.
著者関連情報
© 2026 日本シルク学会
前の記事 次の記事
feedback
Top