自動運転技術の社会実装においては,技術開発と制度整備に加え,社会的受容性の醸成が不可欠である.消費者の正しい理解と柔軟で適切な対応が,技術の早期かつ有効な活用を促進するとともに,新しい道路交通システムの安全性を担保する.筆者は関係省庁と連携しつつ,数年にわたって自動運転に関する消費者意識調査を受託・実施し,その変化をフォローしながら,いかなる領域にどのような情報をどのように提供することが社会的受容性の醸成に繋がるかを模索してきた.中間成果報告書でADASにフォーカスしたことを踏まえ,本稿では地域におけるサービスカーとしての自動運転にクローズアップし,社会的受容性を構成すると考えられる「生活変化」「 学習」「コスト」「 固有性・技術限界」に対するそれぞれの受容の度合いと地域に対する意識の関係について,アンケート調査の結果を踏まえて考察する.そのうえで,社会的受容性醸成におけるアクション評価について言及し,自動運転の社会的受容性醸成に向けたヒントと共創体制の重要性を提示する.