SIP成果報告書
Online ISSN : 2758-4089
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SIP第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」最終成果報告書(2018~2022)
選択された号の論文の63件中1~50を表示しています
Introduction
第1章 SIP第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」
第2章 交通環境情報の構築と活用
(1)交通環境情報の生成に係る技術開発
  • 樋山 智, 南方 真人
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 34-40
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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  • 津田 喜秋, 吉埜 孝広, 室山 晋也, 磯部 健太郎, 渡部 康祐, 秋本 克哉
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    2021年度から2022年度の東京臨海部実証実験は,公衆広域ネットワーク(以下,V2N)を利用した情報配信システムを整備し,降雨情報,車線別道路交通情報,模擬緊急走行車両情報,信号予定情報の4種類の交通環境情報を使った実証実験を実施した.本実証実験では国内外の自動車メーカ,サプライヤ,ベンチャー企業,大学等計22団体が参加し,V2Nによる交通環境情報配信の有効性評価や課題整理を行った.情報配信にあたっては,情報特性に応じてPUSH方式・PULL方式を使い分けて構築し,実用化を視野に入れ通信トラフィックの増大の影響度やネットワーク経由による伝送遅延の影響度の評価を実施した.これらの実験結果を実験参加者と実証実験WGを通じて評価・検証し,交通環境情報の有効性・課題についてまとめた.

  • 畑﨑 由季子, 高柳 雄一, 馬渕 透, 川邉 俊一
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    自動運転のための信号情報の要件として,信頼性向上及び可用性向上の観点から,信号情報と実際の灯色の誤差を±300ミリ秒以下とすること,信号情報の異常を検出し異常発生を車両に通知すること及び様々な信号制御において信号情報提供を実現することの3項目が抽出された.まず,V2I方式を対象とし,2020年度までにV2Iを用いた信号情報提供インフラ技術仕様を決定した.次いで,整備コストの低減等の観点から,2019年度にモバイル回線を利用するV2N方式について検討に着手した.2021年度までに,埼玉県における実証実験等を経てV2N方式による信号情報提供技術の確立に取り組んだ.また,V2N方式の検討の中で想定してきた社会実装モデルの中核を構成する信号情報センターの社会的機能要件についても検討した.こうした検討を踏まえて,2022年度には,17か所の交通信号機から模擬車載機までの一連の構成要素を統合した実証実験を実施し,3つの信号情報提供方式とシステム全体構成の有効性を検証した.

  • 市川 博一, 竹之内 篤, 船岡 直樹, 内山 直浩, 森 暁雄, 森崎 千雅, 大島 竜輝
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 54-60
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    自律走行の自動運転車は限られた範囲の情報に基づき走行しており,前方で事故等があり渋滞が生じている場合,急減速が必要となったり,交通量が多い場合には円滑に車線変更できない可能性もある.この時,前方の交通状況(先読み情報)をあらかじめ車線別に把握することができれば,事前に予備減速し余裕を持って車線変更するなど,より安全・円滑な走行が可能となる.現在,コネクテッドカーの普及に伴い,このような先読み情報を生成するためのデータ取得環境が整いつつあるが,交通状態を車線別に直接把握できるようなデータ形式とはなってない.本取組は,自動運転車の安全・円滑な走行に有用と考えられる車線別の道路交通情報に係る技術開発を行うものであり,現状,市販車両から得られるプローブ情報でどの程度の車線レベルの情報生成ができるかを検証し,今後の可能性を明らかにするとともに,生成した情報をその他の交通環境情報と合わせて一元的に集約・配信する実証実験環境の構築を行ったものである.

  • 荒木 伸太, 新徳 顕大, 宮下 浩一, 愛甲 聡美
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    高速道路における合流は,走行速度の速い本線車両の隙間を狙って合流することが求められる,自動運転車両の制御が難しいユースケースの一つである.特に,首都高をはじめとする都市内高速道路は合流部の距離が短く,合流車両は短い合流部の中で本線速度まで加速したうえで,本線車両間の隙間(ギャップ)に合流することが求められる.このような合流部においては,路車間通信システムを活用して車両位置情報などを自動運転車両に共有し,自動運転を支援することで,円滑な合流が可能になると考えられる.そこで,本研究開発では,路車間通信システムによる合流支援を行う「合流支援システム」について,シミュレータを用いて,コンセプト検討やシステム成立性評価を実施している.具体的には,首都高5号池袋線下り東池袋入口を対象に実交通流の軌跡データを取得のうえ,それらを再現した交通流シミュレータを開発した.このシミュレータを活用し,通信エリアやセンシングエリアなど,合流支援システムを構成する要素を変化させて,支援の有無による合流車挙動や本線交通流への影響を比較分析している.

  • 馬場 素, 前田 誠, 坂口 良
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 67-72
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    本調査研究は,自動運転車が安全安心に走行可能な交通環境の整備に向けて,自動運転車が必要とする警察が管理する交通規制情報のデータ精度向上を目指して2020年度からの3か年で実施した.交通規制情報の精度向上を図るために既存の交通規制情報の標準フォーマットにおける課題及び改善策を検討して新たに拡張版標準フォーマット及び同解説書を作成した.実証実験では2020年度に作成したモデルシステムの要件定義書(案)を踏まえ,2021年度に交通規制情報と標識情報の整合性を確認して紐付けを行うモデルシステムの開発及び実証実験を行うとともに画像認識技術の評価を実施した.2022年度には前年度に開発した技術及び拡張版標準フォーマットを用いてプロトタイプシステムを構築し,交通規制情報のデータ精度向上に係る実証実験及び効果検証を行い,システムを導入するための要件定義書(案)を取りまとめた.

  • 角 建志
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 73-79
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    公共交通である路線バスと緊急車両に対する優先信号制御は,現在は路側に設置した光ビーコンを用いたシステムが主流であるが,GNSS(位置情報)と携帯電話通信網を活用したシステムで適用可能とする技術開発を実施した.GNSSを活用することにより,光ビーコンが設置されていない場所でも同サービスを提供することが可能となる.優先信号制御の実証実験では,GNSSにより位置情報と走行速度を継続して把握することで,光ビーコンと比較してバスの青延長時非通過率が88.9%削減され,よりきめ細やかな優先信号制御が可能となることを実証した.また,本技術開発で構築した仕組みを活用して東京臨海地区で緊急走行車両情報(模擬)を自動運転車両へ配信する実証実験を実施した.緊急走行している救急車等の位置情報を自動運転車両に対して提供することで,より遠方から存在を認識することが可能となる.今後は交通環境情報ロードマップに示されている「インフラ協調による高度な自動運転の実用化」実現に向け,本技術開発の成果が早期に社会実装されることを期待する.

(2)交通環境情報の配信に係る技術開発
  • 菅沼 英明
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 80-84
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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  • 木村 聡, 布本 剛史, 小川 真人, 小西 友明
    2023 年 2022 巻 1 号 p. 85-93
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/31
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    本事業は,協調型自動運転通信方式検討タスクフォースにて策定されたV2Xの活用が期待される協調型自動運転ユースケースについて,無線通信技術への具体的な要求仕様等,通信に関する技術的な実現性の検討,検証及び実証を踏まえ,自動運転社会の実現に必要な通信技術の社会実装時期のロードマップを策定することを目的として実施した.具体的には,ユースケースに対する通信要件の検討,無線通信システムの一つであるセルラーV2X方式による対応可否の検証及び課題解決の対応策立案及び妥当性の検証,既存の無線通信システムである700MHz帯高度道路交通システムによる対応可否の検証及び課題解決の対応策立案,自動運転社会の実現に必要な協調型自動運転に関する通信要件のロードマップ案の策定を実施した.

  • 浅野 欽也, 中林 昭一, 木村 聡, 大塚 昌弘
    2023 年 2022 巻 1 号 p. 94-98
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/31
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    本検討では,SIP第2期の研究開発で得られた,協調型自動運転ユースケースに対する無線通信技術への具体的な要求仕様を策定したロードマップに基づき,協調型自動運転の実現に向け,5.9GHz帯の電波を用いた場合のV2Xシステムの導入に係る課題解決及び検討を加速化するため,その導入に必要となる通信プロトコルを含めた無線機の仕様を案出した.

  • 斉藤 知彦, 滝 将太
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 99-103
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    将来の自動運転社会の実現に向けて解決すべき課題の一つに,交差点等の複雑な環境下では,自動運転車両側だけではセンシングできない死角が増え,交差点手前で交差点内の安全が確認できるまで停止/徐行することになり,交通流に影響を与えるおそれがあるというものがある.2019年度及び2020年度における研究開発では,交差点周辺のセンサ等からの車,歩行者などの物標情報の収集及び自動運転車両への配信制御などの要素技術の机上検討及びフィールド実証を実施した.2021年度においては,緊急走行車情報や信号予定情報といったより広範な情報への対応,多様なユースケースにおける中域配信への対応を行うとともに,実用化に向けた中域サーバの負荷検証や配信効率等の検証,中域配信システムの有効性評価を実施した.またそれらの成果を踏まえ,V2N中域情報配信を検討する事業者向けの中域サーバ実装ガイドラインを策定した.

第3章 自動運転の安全性の確保
  • 保坂 修, 木村 裕明
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 104-107
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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  • 井上 秀雄
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 108-119
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    自動運転はシステムが複雑化する一方で,無数に存在する走行環境に対して高い安全性の確保が求められている.しかし,現在の自動運転車の安全性の検証は,実環境走行下での網羅的な実績評価に依存しており,膨大なコスト(人・物・金・時間)を要する.また,自然界で起こる物理現象に対しカメラ,レーダ,LiDAR等の外界センサの物理的限界は検証が難しく,システムを構築するうえでどこまでやれば安全性を保証できるのかといった課題がある(How safe is safe enough?).このような背景を踏まえ,本研究プロジェクトでは,自動運転の安全性評価に必要となる実現象と一致性の高い「走行環境~空間伝搬~センサ」一連のモデルを特徴とした仮想空間シミュレーションでの評価プラットフォームを構築する.これにより多くの環境条件(シナリオ)で精緻,かつ効率的な自動運転の安全性評価(Safety assurance)を可能とすることを目的とする.

  • 菅沼 直樹, 米陀 佳祐, 柳瀬 龍, 倉元 昭季, 山下 隆義, 藤吉 弘亘, 目黒 淳一
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 120-128
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    市街地でのレベル4相当の自動運転には,車載されたAIによる高度で自律的な認知・判断機能とともに,それを支援する道路設備,通信設備等のインフラが必要となる.一方,道路設備・通信設備等のインフラを日本全国に設置するには莫大な予算が必要になるため最低限必要とされるインフラや,認知判断技術の検討が必要となる.そこで本事業では,将来の協調領域の議論のため,取得したデータ及び当該データを取得した際の技術を一定程度公開可能な大学等を主体とした自動運転車両の公道実験等を通して,自動運転システムに必須となる認知判断技術とインフラについて研究・調査を実施した.そして公道走行によって得られた知見から,自律型の自動運転システムの認識不調が起こる要因や課題を調査するとともに,インフラから提供される交通環境情報の有効性について評価を行った.

  • 奥山 謙, 和栗 直英, 韓 欣一, 今川 勇生
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 129-133
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    コネクテッドカー及び自動走行システムが発展・普及し,高度な地図情報や地図上にマッピングされる自動車,人,インフラ設備等の情報が外部ネットワークを介して自動車に送信される.このような状況はサイバーセキュリティ問題を引き起こす要因となっている.また,道路運送車両の保安基準において,サイバーセキュリティ及びソフトウェアアップデートに係る協定規則であるUN-R155/R156を導入していることから,法規の観点からも自動車に対するサイバー攻撃への対策が必要となっている.このような課題を解決するために,本研究では,出荷後における新たなサイバー攻撃への対策技術として,侵入検知システム(IDS)に着目し,IDS導入時における評価・テストのベースラインとなるIDS評価ガイドラインを策定した.本年度は実際にインシデントが発生した際の初動対応を支援するための仕組みづくりとして,コネクテッドカーの脅威情報の収集・蓄積方法の検討及びハニーポット等による収集実験を実施している.

  • 伊藤 誠, 周 慧萍, 合田 美子, 戸田 真志, 新目 真紀, 半田 純子
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 134-137
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    SIP第2期自動運転(システムとサービスの拡張)の“運転者や歩行者等が習得すべき知識とその効果的な教育方法に関する研究開発(課題C)”の取組を概説する.課題Cでは,主な研究目的に基づき,教育方法の深化に関して,(1)個人特性を踏まえた教育方法の提案,(2)動機付け手法の提案,(3)部分教育を意識したモジュール化可能な完全教育教材の開発の3つの研究テーマを設定し研究を行ってきた.また,試作した教材を用いて,自動運転に関する一般的な知識を事前に提供することの効果についてドライビングシミュレータを用いた検証を行った.

  • 大門 樹, 對間 昌宏, Lee Jieun, 古谷 知之
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 138-143
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    交通制約者のモビリティの確保や移動・物流サービスのドライバ不足の改善・コスト低減等の社会的課題の解決に向けて,低速走行の自動運転移動・物流サービス車両の技術開発や中山間地域等での実証実験が実施されている.低速走行の自動運転サービス車両では,従来の手動運転車の場合とは異なり,運転を常時行うドライバが乗車しないことから,歩行者や他のドライバなどの周囲交通参加者とのコミュニケーションにおいて,安全,安心,交通効率などの課題が存在する.低速走行の自動運転サービス車両と周囲交通参加者との間に安全安心で円滑なコミュニケーションの実現を目指して,実証実験等で観測されたコミュニケーションの特徴分析,自動運転サービス車両からの意図や状態を交通参加者に伝達するためのコミュニケーション方法(車両挙動や外向けHMI等)の実験的検討を実施した.また実験的検討に基づいて抽出された外向けHMIによるコミュニケーション方法を実証実験にて検証し,コミュニケーション方法の設計推奨の効果を確認した.

  • 佐藤 稔久, 長谷川 国大, Wu Yanbin, 木原 健, 中野 公彦, 楊 波
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 144-148
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    SIP第2期自動運転(システムとサービスの拡張)の“走行環境条件の逸脱や自動運転システムの機能低下における適切な運転引継ぎのためのHMI等に関する研究開発(課題B)”の取組を概説する.課題Bでは,自動運転から手動運転への運転交代前におけるドライバの周辺監視状態の評価指標の検討や,HMIによるドライバのシステム理解への効果の検討等に取り組んだ.ドライビングシミュレータ実験を行い,レベル3自動運転からのシステム主導による運転交代場面において,運転準備となるドライバの周辺認識の定量的評価方法を検討し,本実験結果より,ドライバ周辺認識の評価指標や適切な周辺認識に必要となる時間等を明らかにした.レベル2自動運転からのドライバ主導による運転交代場面では,レベル2使用中のドライバの注意状態を評価するには視線計測が有効であること,また,ドライバが適切にシステムの機能限界を理解でき,機能限界に至る前に適切に応答ができるようにするHMI要件を明らかにした.

第4章 自動運転のある社会
(1)地域社会における自動運転移動サービス
  • 加藤 宣幸
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 149-152
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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  • 加藤 宣幸
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 153-160
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本取組は,自動運転移動サービスの恒久的実施に向けて,限定地域で開始している自動運転サービスを,全国の複数地域で社会実装することを目的に,事業の持続可能性を検討し,自動運転移動サービスに関するマニュアルを適宜更新し,自動運転移動サービスの社会実装の事例拡大に貢献するものである.まずは,現時点の技術レベルで一般道における自動運転による移動サービスの導入が可能な地域として,他の交通が少ない地方部を念頭に置き,道路の走行空間の確保,運行管理等の社会実装を行う上での課題を解決する.検証対象地域は,社会実装された4か所,長期実証を行った実験1か所を選定した.これら対象地域は2019年11月より順次,自動運転移動サービスの提供を開始し,事業の持続可能性の向上に資する他事業連携や地域住民の受容性向上等の施策を実施している.本稿では,自動運転移動サービス導入の目的,実用化に向けた検討対象地域・使用車両・社会実装の要件定義,社会実装箇所及び長期実証実験箇所の各地域の取組について概説する.

(2)自動運転の社会的受容性
  • 荒木 雄一, 木村 裕明
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 161-164
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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  • 宮木 由貴子
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 165-171
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    自動運転技術の社会実装においては,技術開発と制度整備に加え,社会的受容性の醸成が不可欠である.消費者の正しい理解と柔軟で適切な対応が,技術の早期かつ有効な活用を促進するとともに,新しい道路交通システムの安全性を担保する.筆者は関係省庁と連携しつつ,数年にわたって自動運転に関する消費者意識調査を受託・実施し,その変化をフォローしながら,いかなる領域にどのような情報をどのように提供することが社会的受容性の醸成に繋がるかを模索してきた.中間成果報告書でADASにフォーカスしたことを踏まえ,本稿では地域におけるサービスカーとしての自動運転にクローズアップし,社会的受容性を構成すると考えられる「生活変化」「 学習」「コスト」「 固有性・技術限界」に対するそれぞれの受容の度合いと地域に対する意識の関係について,アンケート調査の結果を踏まえて考察する.そのうえで,社会的受容性醸成におけるアクション評価について言及し,自動運転の社会的受容性醸成に向けたヒントと共創体制の重要性を提示する.

  • 須田 義大, 三好 博昭
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 172-178
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    自動運転の社会経済インパクトの評価は,自動運転に対する社会的受容性の醸成,政府の政策形成や企業経営への活用という点で極めて重要である.本稿は,この認識のもと,「自動運転による交通事故低減等へのインパクトに関する研究」並びにその成果を踏まえて実施した「自動運転による社会・経済に与えるインパクト評価と普及促進策に関する研究」の概要を紹介することを目的にしている.本稿では,まず,社会経済インパクト評価の基礎となる自動運転車の「普及シミュレーション」の2つのモデル(動学モデルと静学モデル)を紹介した後,この普及シミュレーション結果を用いて実施した「道路交通への影響分析」「交通サービス分野への影響分析」「産業・社会分野への影響分析」等の概要を紹介する.

  • 廣田 匡, 木村 洋
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 179-187
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    わが国においては,高齢化の進む過疎地等での移動手段の欠如や,物流業界におけるドライバ不足等,モビリティ課題が山積しており,自動運転技術の社会実装による解決への期待が大きくなっている.社会実装にあたっては,自動運転の技術的な研究開発や,制度面の整備と並んで,社会的受容性の醸成も最重要課題の1つである.このため,SIP自動運転では,第1期より社会的受容性の醸成活動として,一般市民・地方自治体関係者・交通事業者等との自動運転を巡る対話や発信を通じ,社会における自動運転の正しい理解促進に努めるとともに,自動運転の社会実装に向け取り組む自治体や事業者の活動を広く共有し,オールジャパンとして課題や好事例を学びあう連携を推進してきた.本稿ではこの活動について概説する.

  • 足立 圭司, 柴田 創一郎, 池永 藍, 太刀川 遼
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 188-193
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    これまでは必ずしも十分に社会参加できるような環境になかった障がい者等が,積極的に参加・貢献していくことができる「共生社会」の実現が目指されている.路線バスについては,1990年代のノンステップバスの登場や,車椅子乗降用スロープの電動化の検討等がなされてきた.近年では,自動運転による交通事故低減や交通渋滞緩和等が期待されているが,自動運転バスが普及した世の中においても,障がい者や高齢者等の交通制約者が,取り残されることなく,安心して自動運転バスを利用できる姿を目指すことが必要である.そこで,自動運転バスが備えるべきデザインの要件と留意点を整理することを目的に調査を実施した.調査は,当事者,及びバス運転士の困り事に関する行動観察,解決案を形にした“モノ”の体験を経て評価を得る評価会等,当事者参加型の形式をとった.その結果,困り事には,バスへの乗降に関するものや,車椅子の固定に関するもの等があげられ,それに対し,自動スロープや車椅子固定装置等を実用化・社会実装するために必要な要件や留意点を整理した.

第5章 Society5.0実現に向けたデータ連携・活用
  • 平岡 雷太, 木村 裕明
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 194-197
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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  • 礒 尚樹
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 198-205
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    自動運転の実現に向けて整備される高精度地図データや道路交通,車両プローブ等の収集データは,交通環境情報として自動車産業以外にも様々な産業での活用が期待できるとし,これらの情報がより安全に使いやすい形で流通できるための仕組みづくりが重要と考えられる.この仕組みを実現するため,モビリティ分野のデータを集約し他の分野との連携を行う交通環境情報ポータルサイト「MD communet」を構築し,一般公開した.MD communetの持続的な運用を目指し,会員企業の獲得や各種プロモーションによる認知度の向上,オフライン/オンラインでのマッチングの場づくり等の普及促進活動を進めた.さらに,本仕組みを社会実装するうえで重要な鍵となる交通環境情報を,他の分野の情報とも組み合わせて有効利用するサービス事例づくりを行い,サービス開発に必要なサポート機能についても検討を行った.

  • 林 典之, 小宮山 直久, 外山 友里絵, 柏 貴裕, 小津 宏貴, 内田 航, 野口 和博, 盛田 太郎, 牧野 夏葉, 密原 大豪
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 206-209
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    交通環境情報を活用し,都市部における交通に関する課題を解決するユースケースを創出する観点から,多くの観光資源を擁する世界的な観光都市である京都市が抱える観光や交通等に関する社会課題を解決するためのアプリケーションやアイデアを募るコンテスト(「観光・交通に関する課題解決のためのアプリコンテスト(KYOTO楽Mobiコンテスト)」)を実施した.コンテストの実施にあたっては,京都市交通局をはじめとする交通・物流・観光に関わる事業者の協力を得て,バスや鉄道等の公共交通機関の駅・停留所・路線・ダイヤ・運賃データや,物流分野における手荷物一時預り・配送サービスや店舗データ,観光分野における施設・スポット情報,過去の混雑統計データや将来の混雑予想,地図API等を整備・提供した.コンテストの実施を通じて,交通環境情報ポータルサイトの認知度向上を図るとともに,様々な関係者との協議・調整によりポータルサイト(MD communet)に掲載するデータの収集・活用を実現した.

  • 赤尾 幸彦, 金澤 匡晃, 佐藤 大二郎
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 210-216
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    この調査研究は,車両・プローブ情報等に係る各種データをトラック物流の業務効率化や安全性確保に役立てていくことを狙いとして,「①荷待ち時間発生状況把握と関係者間共有」「②車両データを用いての日常点検項目の確認」「③法令遵守・安全確保のための積載重量/タイヤデータの計測」の3つのユースケースについて,データ取得・活用の実証実験を行ったうえで,実装に向けての課題整理と対策検討を行うものである.実証実験による仮説検証と,実験結果を踏まえて行った運送事業者や関係事業者との協議を通して,各ユースケースはトラック運送業務の効率化や安全性確保等における有用性の観点から高く評価された.一方で各ユースケースは,実装に向けては検討の緒に就いたコンセプトレベルの段階にあるため,今後の具体化検討に際しては技術面,事業面,法整備面等様々な観点の課題が存在し,実用化には相当の期間を要すると思料される.今後,実用化に向けての環境整備や機運づくりを図るため,各ユースケースの認知促進と,推進役となる関係団体や事業者が必要である.

  • 市川 博一, 竹之内 篤, 内山 直浩, 祢津 伸一, 徳永 和貴
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 217-220
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    本取組は,車両プローブ情報から,悪天候や路面状況に係る情報等,自動運転車の走行に有益な情報や,道路維持管理にも活用可能な情報の生成可能性を検討することを目的とし実施するものである.検討対象とする車両プローブ情報として,現段階でも取得可能な,ABS,トラクションコントロールシステム,横滑り防止機能,ワイパー作動情報及び今後取得が可能になると考えられる,路面グリップレベル情報及び水膜厚推定値を取り上げる.それら車両プローブ情報と,降雨状況が把握できる各種気象データを,区間ごとなどの同一単位に整理したうえで相関性を把握することで,情報生成の可能性及び自動運転の走行支援や道路管理へ活用することの有効性を検証する予定である.

第6章 国際連携の推進
  • 梅田 学
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 221-225
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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  • 舟橋 恵
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 226-228
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    SIP-adus Workshop 2022が10月11日から京都で開催された.2014年から数えて9回目,SIP自動運転として最後のワークショップである.3年ぶりに会場で研究者同士が直接顔を合わせて議論を繰り広げた.日本国内外への情報・研究成果の発信,海外研究者とのネットワーク構築,国際的に活躍できるリーダーの育成を目的に発足した日本が主催するこの国際会議は,回を重ねるごとにその存在感を高め,SIP自動運転の国際連携活動推進の一翼としてその役割を果たして来た.このワークショップを通して築かれた国内外の研究者同士の連携や,新たにできた若い世代との繋がりは,これからの自動運転技術の発展や社会実装の過程に引き継がれるものである.

  • 梅田 学
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 229-232
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    SIP第2期自動運転における政府間の国際連携活動として,SIP自動運転に対し日独連携やEUプロジェクトという枠組みでの共同研究のオファーが寄せられ,日独連携,日EU連携としてドイツ連邦研究教育省(BMBF)及び欧州委員会研究・イノベーション総局(DG-RTD)と連携活動を行った.日独連携では,自動運転分野に関する日独連携活動の意思決定を行うステアリング委員会にて,自動運転に関するヒューマンファクタ,社会経済インパクト,安全性評価,サイバーセキュリティの4つの研究分野で共同研究計画が承認され,連携活動が行われた.日EU連携では,欧州委員会が進める研究開発枠組みプログラムであるHorizon 2020のプロジェクトとの連携活動についてオファーがあり,Horizon 2020傘下の3つのプロジェクトを中心に連携活動が行われた.
  • 中條 覚
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 233-236
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    ダイナミックマップの国際連携活動は,国内におけるSIP-adus研究開発成果をもとに行っている.活動の主たる目的は,SIP-adus,特にその中でもダイナミックマップに関する活動及び研究開発成果を海外に周知するとともに, それらに関するフィードバックを得ること,及び国際標準との整合を確保することである.具体的な活動は,各種国際会議での発表等,国際標準化活動,業界標準活動,日米欧三極連携活動に大別できる.SIP第2期の活動においては,ITS世界会議をはじめとする複数の国際会議での発表とともに,ISO17572-1,4(位置参照手法),ISO20524-1,2(地理データファイル)の4つの国際標準成立,デジタル地図に関する業界標準活動であるOADF(Open Auto Drive Forum)へのステアリングメンバとしての正式な参画,またOADF参加団体であるADASIS(Advanced Driver Assistance Systems Interface Specification Forum)の仕様を活用したうえでのSIP-adus実証実験の実施といった成果を得ている.

  • 北﨑 智之
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 237-240
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    自動運転のヒューマンファクタは,自動運転の安全性や社会的受容性に関わる重要な側面である.また人を理解することは,基盤研究と位置づけることもでき,いわゆる協調領域を多く含む.SIP第1期,第2期を通して,積極的な海外連携により,SIPヒューマンファクタ関連プロジェクトの課題設定や研究方法,結果の妥当性を検証するとともに,成果を国際的に発信してきた.また国際標準への成果の織り込みに積極的に取り組んできた.本稿では,その具体的な活動を紹介する.

  • 佐藤 秀亮
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 241-245
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
    研究報告書・技術報告書 フリー

    より安全,効率的で自由なモビリティ社会の実現のために,自動運転車両の実用化と展開が期待されるなか,『どのような考え方で社会的受容性のある安全性判断を行うか』という安全性評価基準と,『多様な交通状況における安全性をどのように包括的に評価するか』という安全性評価手法の整備が急務である.国内においては安全性評価仮想環境構築を推進する内閣府支援のDIVPⓇ(1)と,安全性評価シナリオデータベース構築を推進する経済産業省支援のSAKURA(2)を立ち上げ,一般社団法人日本自動車工業会(自工会)がこれらのプロジェクトの横串を通す形で技術戦略を示しながら産官学で連携して安全性評価基準と安全性評価手法を支える安全性評価基盤技術の構築を行っている.各国でも多くの安全性評価の研究プロジェクトが活発に立ち上がっており,国内だけでなく国際も含めてプロジェクト間で密に連携し,国際基準・標準,共通基盤技術の確立に向けたテコとなる連携体制の構築・運営が重要である.

  • 三角 正法
    2022 年 2022 巻 1 号 p. 246-249
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/31
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    通信を利用する協調型自動運転について,SIP-adus Workshopや関係する国際会議への参加を通じ,SIPからの情報発信,海外動向の情報収集,並びに海外専門家との関係構築を進めた.特にSIP-adus Workshopでは,海外の専門家にSIPの活動紹介を行い,その理解を促進するとともに,海外の活動の実態を専門家の生の声として知ることができた.欧米開催の国際会議では,各国の行政の取組や,企業活動に関する幅広い情報を入手した.本稿ではこれらの概要を紹介する.

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