2022 年 2022 巻 1 号 p. 250-252
自動走行システムの基盤となる高度な地図情報や地図上にマッピングされる自動車,人,インフラ設備等の情報は,主に外部ネットワークから取得することが想定されている.
これらの情報は,自動走行システムによる車両制御に活用する目的で,車両の制御系/情報系の機器に送られるが,従来の自動車にはなかったサイバーセキュリティ問題を引き起こす要因にもなっている.また,UNECE1 WP29におけるUNR155/R156の合意に伴い,法規観点からもサイバー攻撃への対策が必要となっている.
このような問題を解決するために,「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/自動運転(システムとサービスの拡張)」では,出荷後のサイバー攻撃への対策技術として,侵入検知システム(IDS:Intrusion Detecting System)に着目,既製品を活用するOff-the-Shelf型の開発を対象に,IDSを選定するうえでの評価観点やテスト実施方法などを検討,実機ベンチを用いた検証を実施し,IDS評価ガイドラインとしてまとめた.
また,新たな脅威が顕在化した際の初動対応の迅速化に向け,コネクテッドカーの脅威情報を迅速に提供するための仕組みの検討,及び潜在的な脅威情報のプロアクティブな収集方法の検討を実施している.先行するIT業界での脅威インテリジェンス活動などを解析し,仕組みを構築,実現性を検証するとともに,ハニーポットの検討及び観測実験を実施し,その効果の検証を行っている.また,これらの取り組みについては,日独連携ワークショップを通じて,日独の大学の専門家も加わり知見の共有,活用を進めている.