日本女性科学者の会学術誌
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総説
細胞を用いた心筋再生と分化スイッチ
川口 奈奈子
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2013 年 13 巻 1 号 p. 14-22

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抄録

心筋梗塞は、冠動脈の血管が閉塞することによって、心筋細胞まで酸素や栄養素が運搬されなくなり、心筋細胞が壊死に陥ることにより、心臓の機能が異常になり、発症する。2003年頃、心臓内に、幹細胞が存在することが報告され、心臓内の幹細胞を用いた心筋細胞の再生が心筋梗塞の治療に注目されるようになった。著者のグループも、将来心筋再生医療につながることを目標とした心臓内幹細胞の基礎研究を行ってきた。2006年、4つの転写因子を導入することにより、マウス線維芽細胞からでも胚性幹細胞と同様なpluripotencyを有するinduced pluripotent (iPS) cellが作製され、iPS細胞から心筋細胞への分化、高い純度の精製方法が確立されつつある。また、最近では、ヒトの線維芽細胞に転写因子を導入して直接心筋細胞の作製に成功する報告が出され、注目されている。本総説では、我々の研究結果をまとめるとともに、心筋再生に関する最近の知見についてまとめた。

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© 2013 日本女性科学者の会
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