2025 年 25 巻 p. 54-68
日本の女性研究者割合が国際的に見て極めて低いというエビデンスに基づき、「男女共同参画基本計画(第2次)」において、新たな取組みを必要とする分野として「科学技術」が初めて位置づけられるとともに、「第3期科学技術基本計画」において「女性研究者の活躍促進」の記述が大幅に増えた。また、これらの基本計画に沿って、文部科学省において女性研究者の活躍促進のための政策が2006年度から初めて予算化された。19年間の継続的施策により、女性研究者割合は増えてきているものの、その割合はOECD諸国との比較で最低水準に留まっている。また、女子学生が理工系分野の進路選択を躊躇する傾向も継続している。本稿では、これまでの女性研究者の活躍促進に係る取組を概観し、日本の女性研究者が所属する分野と女子学生が進路として選択する分野の割合に着目し、これまで分野を特定せずに行われてきた施策について、数学・物理学や情報学・工学分野への資源配分の選択と集中に着目し、今後の課題と展望を考察した。