日本女性科学者の会学術誌
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総説
ナトリウムポンプ (Na,K-ATPase) α2サブユニットの生体内での役割
池田 啓子
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2006 年 6 巻 1 号 p. 16-21

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抄録

ナトリウムポンプは、ほ乳類動物細胞の細胞膜に存在し、細胞膜内外のナトリウムイオンおよびカリウムイオンの濃度勾配を維持する能動輸送ポンプである。このナトリウムポンプは細胞の生存にとって必須の機能を担う酵素であるが、複数のアイソフォーム遺伝子を進化させたことで各アイソフォーム遺伝子が特異的な生体機能を有するようになったと考えられてきた。筆者らはナトリウムポンプ α2サブユニット遺伝子欠損マウスを作成、その表現型を解析し、α2サブユニットが中枢神経系において種々の輸送体との特異的な機能共役を行うことを見出した。また、遺伝子欠損成ヘテロマウスは恐怖/不安が強く、中年期以降には肥満傾向を示し、ヒトの生活習慣病のモデルマウスになる可能性が明らかになった。本稿ではα2サブユニットの特異的機能に焦点をあて、生体内での役割について紹介する。

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