2009 年 24 巻 3 号 p. 504-509
皮膚悪性腫瘍における確立された化学療法は少なく,特に悪性黒色腫以外の皮膚がんでは臨床試験さえ十分にあるいは全く行われていない状況である。有棘細胞癌や乳房外Paget病に対する化学療法は,単独の施設による少数例の集積研究や1例報告が散見されるのみでエビデンスレベルは低いものと言わざるを得ない。現在までの報告をまとめていくと,有棘細胞癌に対する化学療法は遠隔転移巣あるいは術前補助療法として実施され,シスプラチンとドキソルビシンを用いるCA療法がfirst lineとして用いられることが多い。またCPT-11はsecond lineとして位置付けられている。進行期乳房外Paget病に対する化学療法は,5-FUとcisplatinやcarboplatinといったプラチナ化合物を中心とした多剤併用療法とdocetaxelの単剤投与が大きな柱となるようである。今後,多施設共同研究によるnon-melanoma skin cancerに対する化学療法の確立と新規抗癌剤の開発が望まれる。