Skin Cancer
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第39回日本皮膚悪性腫瘍学会
ワークショップ
一般演題
  • 坂本 翔一, 山本 有紀, 村岡 響子, 鎗山 あずさ, 原 知之, 稲葉 豊, 中野 創, 赤坂 英二郎, 神人 正寿
    2024 年 39 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル 認証あり

    64歳,女性。1歳頃から掌蹠の過角化症状あり。自身で削り処置を繰り返していたが,左踵に黒色斑が生じ,その後隆起してきたため当科を紹介受診した。初診時,掌蹠の著明な過角化と,左足部に広範囲におよぶ黒色斑と20 mm大までの紅色結節を2ヵ所に認めた。精査の結果,掌蹠の過角化病変についてはSLURP-1変異が検出され,Meleda病と診断した。結節病変の生検結果は悪性黒色腫であった。結節病変に対する手術療法とセンチネルリンパ節生検を行い,病期はStage ⅡC(pT4bN0M0)であった。その後ペムブロリズマブによる治療を継続した。しかし術後3ヵ月で脳転移を生じ,術後6ヵ月で癌性髄膜炎を生じて永眠された。Meleda病と悪性黒色腫の合併例の報告は非常に稀であるが,Meleda病の原因遺伝子であるSLURP-1は,腫瘍抑制因子として機能している可能性が示唆されている。

  • 池田 宏器, 井上 卓也, 杉田 和成
    2024 年 39 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル 認証あり

    50代,男性。初診の約35年前から肛門外側に結節を自覚し,排膿を伴うようになり受診した。初診時,肛門外側皮膚の2~5時方向に2.5×1.4 cmの内部に潰瘍を伴う黒色扁平結節を認め,下床には硬結を伴っていた。会陰部に7 mm大の皮下結節を触知した。皮膚生検では,異型を示す基底細胞様細胞が索状・胞巣状かつ角化を伴いながら深部へ浸潤増殖しており,basosquamous carcinomaを疑った。そのため,会陰部の皮下結節の切除生検と鼠径センチネルリンパ節生検を行った。会陰部の皮下結節には原発巣と同様の腫瘍細胞を認めin-transit転移と考えた。センチネルリンパ節は陰性であった。原発巣を切除したところ,生検と同様の腫瘍細胞を認め,basosquamous carcinomaと診断した。

    Basosquamous carcinomaは頭頸部に好発する腫瘍であり,肛門周囲発生例は稀である。悪性度が高いため,注意深い身体診察および画像的評価が必要であり,長径2~3 cm以上で所属リンパ節腫大がない場合には,SCCと同様にセンチネルリンパ節生検が推奨されている。

  • 坂本 翔一, 青木 恵美, 山村 健太郎, 西原 克彦, 魚住 公治, 上山 友子, 久保 文克, 髙木 信介, 松下 茂人
    2024 年 39 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル 認証あり

    皮膚原発有棘細胞癌に対する治療の第一選択は手術療法であるが,局所進行のため切除不能な例に対する標準治療が存在しないのが現状である。我々は頭蓋骨に浸潤した皮膚原発有棘細胞癌の症例を2例経験した。いずれも手術療法は困難と判断し,頭頸部癌に対する導入化学療法として行われるTPF療法(ドセタキセル/シスプラチン/フルオロウラシル)と同時に放射線療法を施行した。両例ともTPF療法1コースと,総線量50 Gyの放射線療法により腫瘍の著明な縮小効果が得られた。その後根治的な手術療法を行い,良好な結果を得ている。TPF療法を用いた同時化学放射線療法は,好中球減少や発熱性好中球減少症を生じる頻度が高いとされているが,投与量の調整などの有害事象への対策をとることで安全に施行することができた。本法は,切除困難な皮膚原発有棘細胞癌に対する術前化学放射線療法として有用な選択肢であると考える。

  • 米澤 理沙子, 大久保 葵, 川平 尚生, 藤井 一恭, 東 裕子, 米良 健太郎, 金蔵 拓郎
    2024 年 39 巻 1 号 p. 26-29
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル 認証あり

    63歳,女性。20年ほど前から認める右腰部の腫瘤を主訴に来院した。病理学的所見では,紡錘形細胞が花むしろ状配列を成して,真皮から皮下組織にかけてびまん性に増殖していた。また,腫瘍内に脂肪細胞を多数認めた。免疫組織化学染色で紡錘形細胞はCD34陽性,S-100陰性だったことから隆起性皮膚線維肉腫と診断した。病理組織像で脂肪細胞を多く含む紡錘形細胞腫瘍としては,脂肪線維腫症様神経腫瘍があげられるが,免疫組織化学染色でpan-tropomyosin receptor kinaseが陰性だったことから否定された。組織学的に多数の脂肪細胞を含む隆起性皮膚線維肉腫は稀なため報告した。

  • 西原 桃子, 江藤 博文, 田中 愛実, 持田 耕介, 佐藤 勇一郎, 天野 正宏
    2024 年 39 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル 認証あり

    48歳,女性。当科初診6ヵ月前に会陰部に皮下腫瘤を自覚した。前医の消化器外科で切除され,malignant granular cell tumor(MGCT)と診断され当科紹介初診した。前医切除標本では好酸性の顆粒を含む豊富な細胞質を有し異型の強い核をもつ多型な細胞が充実性胞巣を形成していた。拡大切除を施行したが病理組織学的に断端陽性であり,追加切除,皮弁形成術を施行した。切除標本に病変を認めず当科外来で経過観察した。約1年後に画像検査で会陰部左側の局所再発と左鼠径リンパ節転移が疑われ生検を行った。病理組織学的にMGCTの再発および左鼠径リンパ節転移と診断し,再発病変の切除と左鼠径リンパ節郭清術を施行した。MGCTは非常に稀な腫瘍であり文献学的考察を加え報告する。

  • 茜部 穂波, 森 章一郎, 堀崎 健, 太田 真衣, 今井 聡子, 秋山 真志
    2024 年 39 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル 認証あり

    78歳,女性。2019年時より肛門近傍に結節を自覚,痔核と自己判断し放置した所,結節は徐々に増大し,2021年9月には両鼠経部に皮下結節が出現した。2021年11月,前医消化器内科を受診し,内視鏡下に肛門近傍の結節を生検,脂腺癌疑いとなり2021年12月当科紹介となった。初診時,肛門近傍に65×30 mmの皮膚びらんを伴う黄色調の腫瘤があり,触診上両側鼠経リンパ節が腫大していた。CTで両側鼠経・左外腸骨から傍大動脈領域まで複数のリンパ節が腫大していた。肛門近傍の腫瘤を再生検した所,異型核をもつ腫瘍細胞と泡沫状の澄明な細胞質を有する脂腺分化を伴った細胞が混在していたため,脂腺癌 T3N2M1 Stage IVBと診断した。根治切除不能,進行期脂腺癌としてカルボプラチン,パクリタキセル(CP)療法を開始し,原発・リンパ節転移とも縮小し,15クール投与時点でPRを得たが,薬剤性眼障害のため投与は中止した。根治切除不能な進行期脂腺癌に対してCP療法が有効な可能性がある。

投稿論文
  • 遠藤 竜一郎, 石井 暢明, 芹澤 直隆, 秋元 正宇
    2024 年 39 巻 1 号 p. 41-48
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル 認証あり

    77歳,男性。1年前に左頬部皮膚腫瘤を自覚し,徐々に増大したため当科受診となった。初診時16×11 mm大の黒色隆起性皮膚腫瘤を認めた。悪性腫瘍の可能性を考慮し,後日全切除生検を行った。病理検査で,HE染色で核異型を伴う腺腔構造,アポクリン腺分化を示す断頭分泌を認め,皮膚アポクリン腺癌または転移性腺癌と診断した。術後に行ったPET-CT検査で,他臓器に異常集積を認めなかったため皮膚アポクリン腺癌と診断した。後日10 mmマージンの追加切除,鼻唇溝皮弁による再建術を施行した。術後約2年半経過した現在まで局所再発や転移は認めていない。我々が渉猟し得た範囲において,本邦でのアポクリン腺癌は過去に81例報告されているが,全体が黒色を呈する皮膚アポクリン腺癌は自験例が初であったため若干の考察を加えて報告する。

  • 秋元 隆太, 田口 良吉, 福田 知雄
    2024 年 39 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル 認証あり

    悪性黒色腫はメラノサイトが癌化した皮膚悪性腫瘍で,進行すれば高率にリンパ節および遠隔転移を来し,再発率も高く慎重な経過観察が求められる疾患である。経過観察において時に注意を払わなくてはいけないのが重複癌で,本邦における重複癌の発生率は徐々に増加傾向にあるとの報告がある。我々は当科で2013年から2023年までに経験した悪性黒色腫症例114例における重複癌の発生状況について検討した。114例中重複癌は23例,平均年齢は73.1±8.4歳であった。重複癌患者23例のうち悪性黒色腫が先行した先行群は4例,悪性黒色腫が後発した後発群は19例であった。

    重複癌の種類に明らかな偏りはなく,先行群において重複癌を生じるまでの期間は平均1.7年であった。今回の結果からも悪性黒色腫における重複癌は増加傾向にあり,今後診療にあたる上で重複癌の発生には留意する必要があると考えた。

  • 尾髙 紗也, 石井 暢明, 芹澤 直隆, 秋元 正宇
    2024 年 39 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル 認証あり

    49歳,女性。当科初診の5年前より右大腿内側の隆起性皮膚腫瘤を自覚した。最も大きい腫瘤が35×20 mm大に増大し,癒合傾向も認めたため当科初診の3年前に前医で切除された。病理組織学的検査で神経線維腫と診断された。断端陽性であったが,経過観察となっていた。その後再発を認めたため当科受診となった。2 mm marginで全切除生検したところ病理組織学的検査で隆起性皮膚線維肉腫の診断となった。切除断端陰性を確認し,後日20 mm marginの追加切除と横転皮弁による再建を施行した。隆起性皮膚線維肉腫の診断は必ずしも容易ではなく,H-E染色による病理診断が神経線維腫などの良性腫瘍であっても外観や臨床経過などを考慮して適宜免疫組織染色を行い,注意深く診断することが望ましい。

  • 松本 薫郎, 平井 郁子, 小林 研太, 中村 善雄, 宇野 裕和, 舩越 建
    2024 年 39 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル 認証あり

    74歳,女性。初診4年前に前医で外陰部乳房外パジェット病の原発切除を受けた。その後に鼠径・骨盤内リンパ節転移を来し複数回の外科的切除を受けたが,傍大動脈リンパ節を含む新規の多発リンパ節転移を生じ,全身治療目的に当院を受診した。ドセタキセル単剤療法は間質性肺炎による有害事象中止,低用量FP(フルオロウラシル―シスプラチン)療法は無効中止となった。三次治療としてmodified weekly PET(シスプラチン―エピルビシン―パクリタキセル)療法を開始し,3サイクル後の評価で腫瘍縮小効果を認め,有害事象は忍容可能な範囲に止まり,以降5年以上に渡って有効性を維持しながら投与を継続できている。乳房外パジェット病に対する治療選択肢が少ない中,自験例ではweekly PET療法の有効性,長期投与における忍容性を認めた。本レジメンが進行期乳房外パジェット病に対する長期奏効を達成可能な治療選択肢のひとつであることを示した。

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