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鈴木 魁杜, 芝原 与喜, 松﨑 友里江, 上原 治朗, 吉野 公二
2025 年40 巻3 号 p.
145-151
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/27
ジャーナル
認証あり
結膜メラノーマは稀であり,本邦を含むアジアでは西欧諸国と比較して症例数が著しく少なく,その標準的な治療方針も確立されていない。今回当科で経験した症例を提示し,若干の文献的考察を加えて報告する。症例:男性1例,女性3例。部位は上眼瞼1例,下眼瞼3例だった。平均年齢は71歳,うち3例の転移部位はそれぞれリンパ節,骨移転,リンパ節転移を伴うin-transit転移で手術困難例。BRAF遺伝子変異は野生型2例,V600E,V600K遺伝子変異が各1例陽性。治療はBRAF+MEK阻害薬を2例に使用し部分奏効,免疫チェックポイント阻害薬は2例に使用するも,いずれも奏効しなかった。
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深浦 彰子, 石黒 暁寛, 前 賢一郎, 早川 数馬, 吉田 薫子, 入澤 亮吉, 原田 和俊
2025 年40 巻3 号 p.
152-157
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/27
ジャーナル
認証あり
悪性黒色腫治療の進歩とともに異なる抗がん剤が逐次投与されるようになってきた。肝障害は一般的な有害事象であり,その原因薬剤を同定することはその後の治療選択に関わる重要な問題である。我々はICIと分子標的薬を投与した患者において重度の肝障害を経験したので報告する。この症例では,いずれの薬剤も原因薬の可能性があり,その鑑別が困難であった。症例は45歳,女性。Stage Ⅳの悪性黒色腫にてニボルマブ,イピリムマブ併用療法開始した。治療開始3週間後にGrade 3の肝障害を発症してICIは中止となった。その後,エンコラフェニブ,ビニメチニブの投与開始4ヵ月後にGrade 4の肝障害を発症した。PSL治療によって肝障害が改善後に分子標的薬を再開したが,再度肝障害が出現した。これらの肝障害の原因についてDLSTや肝生検の結果を踏まえて考察した。irAEを含む有害事象が発症した症例では原因薬を同定し,長期的な治療戦略を計画する必要があると考える。
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杉浦 暖人, 山川 浩平, 石川 秀幸, 山口 由衣
2025 年40 巻3 号 p.
158-161
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/27
ジャーナル
認証あり
37歳,男性。車いす生活による仙骨部の慢性潰瘍から発症した有棘細胞癌と左鼠径リンパ節転移に対して,前医で原発巣の拡大切除,左鼠径リンパ節郭清を実施された。その後,右鼠径,右骨盤内(閉鎖領域)のリンパ節転移の出現あり当科紹介となった。右鼠径骨盤内リンパ節郭清術,術後放射線療法を施行したが,右仙骨リンパ節転移が出現。Nivolumabによる治療を開始し,6ヵ月で著明な縮小を認め,部分奏効した。現在まで新たな転移や再発はみられていない。臀部の瘢痕癌は有棘細胞癌の中でも予後不良とされるが,nivolumabは瘢痕癌に対する新たな治療戦略となる可能性があると考え,報告する。
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伊藤 実奈, 三浦 慎平, 鎌田 啓文, 渡辺 彩乃, 大西 正純, 前田 文彦, 天野 博雄
2025 年40 巻3 号 p.
162-166
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/27
ジャーナル
認証あり
2014年以降に当科で免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitors:ICI)やBRAF+MEK阻害薬を一次治療として全身療法を行った進行期悪性黒色腫75例の内,粘膜型進行期悪性黒色腫20例について全生存率や奏効率について検証した。5年生存率は粘膜型と末端黒子型が表在拡大型や結節型と比較してより低かった。また粘膜型進行期悪性黒色腫のうち,抗PD-1抗体単剤療法あるいは抗PD-1抗体+抗CTLA-4抗体併用療法で一次治療を行った症例を比較すると,抗PD-1抗体単剤療法よりも抗PD-1抗体+抗CTLA-4抗体併用療法の方が効果がある傾向がみられた。粘膜型悪性黒色腫はBRAF遺伝子変異が稀であるためICI療法を選択する場面が多い。ICI療法は常に免疫関連有害事象(immune-related adverse events:irAE)のリスクを伴う。限られた治療法のなかで生存率の上昇や奏効率を高めるために慎重な治療選択が求められる。
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三谷 のりこ, 酒井 伽奈, 山本 有紀, 神人 正寿
2025 年40 巻3 号 p.
167-171
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/27
ジャーナル
認証あり
70歳,男性の左鼻腔悪性黒色腫(T4bN0M0(Stage Ⅱ),PD-L1 1%未満,BRAF V600E/K陰性)患者は,重粒子線治療後の全身転移に対し化学療法を開始したが,病状は進行し治療変更を繰り返した。化学療法により一時的な部分寛解を得たものの,左眼周囲において疼痛と倦怠感が増悪した。治療経過中に左眼窩蜂窩織炎および細菌性髄膜炎が急性発症し,迅速な治療介入を行ったが,病状は急速に進行し死亡に至った。髄液検査により細菌性髄膜炎と確定診断され,腫瘍関連の症状に加え,感染症の合併が病状悪化に寄与したと考えられた。皮膚科領域における細菌性髄膜炎の報告は稀であり,本症例は診断の困難性と迅速な対応の重要性を示唆する貴重な経験となった。
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大溝 郁也, 早川 数馬, 石黒 暁寛, 前 賢一郎, 深浦 彰子, 吉田 薫子, 入澤 亮吉, 原田 和俊
2025 年40 巻3 号 p.
172-178
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/27
ジャーナル
認証あり
58歳,男性。5ヵ月前からの鼻出血と右鼻腔腫瘤のため当科紹介となった。画像検査にて原発巣は上顎洞を占拠し,眼窩に浸潤していた。さらに両側リンパ節転移,多発骨転移を認め,ステージⅣの悪性黒色腫の診断となった。初診3週間後よりニボルマブ+イピリムマブ併用療法を開始した。治療開始1ヵ月後に原発巣,転移巣は縮小傾向となった。治療開始5ヵ月後に劇症Ⅰ型糖尿病による糖尿病性ケトアシドーシスを発症しインスリン加療を要した。irAE発症20日後にニボルマブの投与を再開した。その後の画像検査にてすべての病変が消失した。頭頸部の粘膜悪性黒色腫は非常に稀で,全メラノーマの1%未満の発症率であり,約70%が鼻腔・副鼻腔に発生する。粘膜悪性黒色腫はICIの有効性が低くBRAF変異の陽性率も低い。また,Ⅰ型糖尿病のirAEは2%程度と報告されている。irAEを発症した症例では,ICIの有効性が高くなることが報告されている。
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大道寺 澪, 三浦 慎平, 鎌田 啓文, 井上 剛, 渡辺 彩乃, 天野 博雄
2025 年40 巻3 号 p.
179-185
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/27
ジャーナル
認証あり
83歳,男性。1年前より胸部に皮下硬結がみられ当科を受診した。胸部正中に45 mm大,弾性硬,皮膚常色の皮下腫瘤がみられた。病理組織学的に表皮と連続し,腺腔構造を形成する腫瘍細胞が増殖していた。断頭分泌がみられ,腫瘍周囲に乳腺組織がないことから,皮膚原発アポクリン腺癌と診断した。全身精査で両側腋窩リンパ節腫大,左肺門部リンパ節腫大があり,原発巣の拡大切除と左腋窩リンパ節生検を行い,リンパ節転移を確認した。治療選択のためにホルモン受容体を染色し,ER陽性,PgR陽性,Her2陰性であったため乳癌の治療に準じて術後タモキシフェンクエン酸塩を投与した。術後30ヵ月経過したが,両側腋窩リンパ節,左肺門部リンパ節は縮小し,拡大や転移なく経過している。
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虻川 真澄, 本田 進, 瀬尾 瞳, 大塚 一輝, 堀内 美恵, 木村 中, 中里 信一, 田中 敏
2025 年40 巻3 号 p.
186-193
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/27
ジャーナル
認証あり
症例1は71歳,男性。4ヵ月前に左背部の腫瘤を自覚した。初診時の大きさは4.0×3.0 cm,潰瘍を伴う赤色隆起病変を認めた。部分生検で,pleomorphic dermal sarcoma(以下PDS)と診断された。広範切除術を施行し,後日欠損創を有茎広背筋皮弁にて再建した。原病巣に術後照射を施行したが,再建後5ヵ月の時点で左腋窩のリンパ節転移と右肩前面に皮膚転移を認めた。転移巣を切除し同部位に術後照射を行った。転移巣の術後21ヵ月を経過したが新たな局所再発や転移を認めていない。症例2は56歳,男性。半年以上前に右膝窩部の腫瘤を自覚した。初診時の大きさは2.8×1.5 cm,茶褐色から赤色の結節を認めた。全切除生検でPDSと診断された。追加の広範切除後に上内側膝皮弁で欠損部の再建を行い,術後照射を施行した。術後16ヵ月の時点で局所再発や転移を認めていない。PDSは稀な疾患であり局所再発,転移率は比較的高く予後不良とされている。
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鎌田 啓文, 三浦 慎平, 大西 正純, 前田 文彦, 天野 博雄
2025 年40 巻3 号 p.
194-203
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/27
ジャーナル
認証あり
42歳,女性。右前頭部に20 mm大斑状型の血管肉腫が生じ,皮膚悪性腫瘍切除術,分層植皮術を行った。術後放射線療法80 Gy行い,ドセタキセルを1年8ヵ月,パクリタキセルを10年8ヵ月投与した後に,皮膚転移が生じた。エリブリンに変更後,投与31ヵ月で頭蓋骨転移が生じた。パゾパニブに変更し,初診より200ヵ月の長期生存が得られている。その症例を併せて,2015〜2025年に岩手医大皮膚科を受診した血管肉腫24症例をまとめ臨床的に検討した。生存もしくは死亡の転帰が不明である2例を除外し,22例で生存曲線を作成,維持化学療法を行った群で有意に生存期間の延長がみられた。
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吉野 啓純, 川島 秀介, 萩原 和貴, 三好 理一, 塚本 利朗, 土屋 智史, 猪爪 隆史
2025 年40 巻3 号 p.
204-211
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/27
ジャーナル
認証あり
局所病変が進行した血管肉腫患者では,病変部からの出血がしばしば問題となる。持続的出血は患者のQOLを損なうとともに,自宅や施設での生活を困難にする要因であり,可及的速やかに安定した止血状態を得ることが望ましい。皮膚血管肉腫診療ガイドライン2025では,病変部の止血を目的とした治療法として緩和的放射線照射やMohsペーストなどが記載されているが,それらの治療で十分な止血効果を得ることが困難なケースは少なくない。局所病変部からの出血制御が困難な頭部血管肉腫患者において,経カテーテル動脈塞栓術(TAE)により良好な止血効果を得た症例を2例経験した。血管肉腫病変部からの止血を目的としたTAEについて,当科での経験を踏まえて報告する。
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内田 百佳, 濱田 利久, 卜部 紘衣, 中島 範久, 林 隆晶, 赤塚 太朗, 中世古 知昭, 竹中 亮介, 松岡 亮介, 林 雄一郎, ...
2025 年40 巻3 号 p.
212-218
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/27
ジャーナル
認証あり
72歳,女性。関節リウマチで加療中。初診5ヵ月前より左大腿部に褐色局面が出現した。CTで左鼠径,左外腸骨リンパ節腫大を認め,皮膚生検でホジキンリンパ腫が疑われて当科紹介となった。躯幹四肢に多形皮膚萎縮を伴う落屑性紅褐色斑,左大腿部に褐色局面を認めた。紅褐色斑の病理は非特異的であったが,褐色局面では小型リンパ球とともに大型異型細胞が真皮浅層に浸潤し,CD30,CD4陽性,CD8,EBER陰性であった。左鼠径リンパ節にもCD30陽性の腫瘍細胞を散在性に認めた。PCR法によるT細胞受容体遺伝子再構成検査では,褐色局面のみ陽性,紅褐色斑とリンパ節は陰性であった。臨床的には菌状息肉症の大細胞転化を強く疑ったが,落屑性紅褐色斑の病理やT細胞受容体遺伝子再構成検査では診断が確定しなかったこと,関節リウマチの背景があったことなどから,現時点では原発性皮膚CD30陽性リンパ増殖異常症ないし免疫不全を背景にした非特異的なリンパ増殖異常症と考えた。
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