Skin Cancer
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第40回日本皮膚悪性腫瘍学会
シンポジウム
一般演題
  • 賴母木 まゆ美, 石川 秀幸, 竹下 芳裕, 長澤 遼, 山口 由衣
    2024 年 39 巻 3 号 p. 237-241
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル 認証あり

    74歳,男性。初診1年前に右鼻翼に皮膚腫瘍が出現した。初診3ヵ月前に右耳前部,左顎にも皮下腫瘤が出現し近医皮膚科を受診した。鼻翼腫瘍を生検し基底細胞癌の診断で当科紹介となった。全身精査のためのPET-CTにより,右肺腫瘤と多発リンパ節転移,骨転移を認めた。肺非小細胞癌,多発転移の診断で呼吸器内科での治療を優先し,基底細胞癌には,姑息的放射線療法施行した。肺癌に対するdurvalumab,tremelimumab,carboplatin,nab-paclitaxel投与と供に基底細胞癌も縮小がみられ,ほぼ完治となった。肺癌に対する免疫チェックポイント阻害薬と放射線療法が,効果を示したと考えた。基底細胞癌に対する薬物療法の報告は少ないが,tumor mutation burden高値となることから免疫チェックポイント阻害薬が有効である可能性が示唆されている。実際にその有効性が確認された症例として報告する。

  • 嘉村 真知子, 井上 卓也, 杉田 和成
    2024 年 39 巻 3 号 p. 242-246
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル 認証あり

    80代,女性。約2年前から右足底に黒色斑を自覚し,徐々に拡大した。初診時,右足底に径11 mmの半分は黒色調で,半分は鱗屑を伴い褐色調を呈する結節を認めた。悪性黒色腫を疑い,5 mmのマージンで切除生検した。皮膚病理組織学的所見では,核異型の強いメラニン顆粒を有する異型細胞が胞巣を形成しながら真皮へ浸潤性に増殖していた。肉眼上褐色調であった部分では,表皮角化細胞が不規則な胞巣を形成しながら増殖していた。胞巣内の異型細胞はMelan-A陽性,S-100蛋白陽性であった。Pseudoepitheliomatous hyperplasia(PEH)を伴った悪性黒色腫と診断した。5 mmのマージンで追加切除し,右鼠径部センチネルリンパ節生検を行った。PEHは感染症,腫瘍,慢性炎症・刺激などで誘導され,しばしば有棘細胞癌との鑑別が問題となる。悪性黒色腫にPEHを伴うことがあり,臨床像に多様性が生じる可能性を認識しておく必要がある。

  • 清水 知道, 廣田 綾子, 高橋 伸大, 齋藤 成実, 近藤 章生, 山﨑 文和, 馬渕 智生
    2024 年 39 巻 3 号 p. 247-252
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル 認証あり

    85歳,男性。右頬部の紅色結節に,疼痛,出血が生じたため当科紹介となった。皮膚生検するも診断確定に至らず,経過観察していたところ急速に増大,出血量が増加し止血困難となり,外科的に切除した。病理組織学的に,表皮の一部が欠損し,真皮浅層から脂肪織に好酸性の腫瘍細胞がびまん性に増生,広範に出血や壊死を伴っていた。強拡大像で好酸性の細胞質を有する腫瘍細胞の索状の増生を認め,免疫組織化学染色でCD31(+),Factor XⅢ(+),Vimentin(+),CK AE1/AE3(+,focal)であり,epithelioid angiosarcomaと診断した。Epithelioid angiosarcomaはangiosarcomaの形態学的亜系の一つであるが,angiosarcomaよりもさらに予後が悪い可能性があると報告されている。皮膚原発例はさらに少なく,診断に難渋することがあり,病理組織学的検査および免疫組織化学染色検査による診断が重要となる。

  • 吉谷 州太, 小野 祥子, 大塚 俊宏, 福永 淳, 森脇 真一
    2024 年 39 巻 3 号 p. 253-258
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル 認証あり

    87歳,女性。肛門部全周性に6.5×4cmの紅色,表面乳頭状の皮膚腫瘍を認めた。病理組織学的所見では表皮全層にわたって核異型のある異常角化細胞が増殖していた。腫瘍細胞は表皮内に限局しており,真皮への浸潤はみられなかった。免疫染色にてp16陽性であり,ヒトパピローマウイルス(human papilloma virus;HPV)ジェノタイプ判定を行ったところHPV35型DNAが検出された。肛門部高度扁平上皮内病変(high-grade squamous intraepithelial lesions;HSIL)と診断し放射線緩和照射(39 Gy/13 Fr)を行った。放射線療法により腫瘍は平坦化し,治療6ヵ月後も合併症なく経過している。自験例で検出されたHPV35型は高リスク型に分類され,腫瘍の増殖に関与していると考えられた。従来ではHSILの治療に局所切除が行われているが,放射線療法も有用である可能性が示唆された。

  • 山本 由美子, 在田 貴裕, 鈴木史方里 , 大堀 侑紀, 横井 友紀, 浅井 純, 加藤 則人
    2024 年 39 巻 3 号 p. 259-265
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル 認証あり

    60代,男性。臀部に直径約20 cmの巨大腫瘤を認め,手術加療目的に当院を紹介された。皮膚生検から有棘細胞癌と診断した。白血球異常高値,高Ca血症を認め,精査の結果granulocyte colony-stimulating factor(以下G-CSFと略記)およびparathyroid hormone related protein(以下PTHrPと略記)産生腫瘍であることが判明した。腫瘍切除+右鼠径部および骨盤内リンパ節郭清術を施行した。病理組織検査では深部断端陽性であり,術後1ヵ月以内に皮膚への局所再発および多発肺転移を認めた。C’A’(CBDCA+Epirubicin)療法を行ったところ,5クール実施時点で完全寛解が得られた。皮膚有棘細胞癌においてG-CSFとPTHrP両方を産生する腫瘍の報告は稀である。今回,G-CSFおよびPTHrP産生有棘細胞癌に対して,外科的切除後,短期間で転移再発の診断となったが化学療法が著効した症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

  • 内堀 貴文, 岩下 宣彦, 柴田 知之, 阿部 倫大, 渡辺 大輔
    2024 年 39 巻 3 号 p. 266-269
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル 認証あり

    症例は67歳,女性。10年前より緩徐に増大し,当院初診時に右乳房外側下方に7×7cm大の黒色皮膚腫瘍を認めた。全身検索中に右肺上葉に2 cm大の肺癌が見つかり,当院初診2ヵ月後に胸腔鏡下右上葉切除術および所属リンパ節郭清術施行し,その1ヵ月後に皮膚悪性腫瘍切除術および右腋窩センチネルリンパ節生検を施行した。肺癌はpT1bN0M0のStage ⅠA2,悪性黒色腫はtumor thickness 5 mm,リンパ節一つに転移あり,pT4aN1M0のStage ⅢCであった。BRAF陰性であり,術後化学療法としてpembrolizumabを1年間投与し,現在術後5年間無再発生存している。本症例のように体の深部の侵襲の大きい手術から行うという考え方もあるが,生命予後を決めてしまう疾患の手術から行うのが一般的と考える。今後も高齢化に伴い,他悪性腫瘍の偶発的な発見症例の増加が予想されるが,加療順序や術後療法などにつき,術前にはわかりにくい腫瘍深度や転移の有無も想定して加療計画を立てる必要がある。

  • 鎌田 啓文, 三浦 慎平, 大西 正純, 天野 博雄
    2024 年 39 巻 3 号 p. 270-277
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル 認証あり

    BRAFV600E変異陰性の悪性黒色腫に対する主な治療手段は,免疫チェックポイント阻害剤である。しかし,投与継続中にprogressive disease(PD)判定となった場合,代替となる治療法に乏しいのが現状である。PD後も治療を中断することなく継続投与することをtreatmet byond progression(TBP)と呼び,全生存期間(over survival:OS)の延長に寄与する可能性が示唆され,悪性黒色腫以外にも胃癌や肺癌など様々な癌種で試みられた報告がある。今回,PD後も免疫チェックポイント阻害薬を継続投与し,長期生存(19〜66ヵ月)が得られた5例を経験した。いずれもperformance status(PS)は0で,経過中にLDH(lactate dehydrogenase,乳酸脱水素酵素)の上昇はなかった。今後は,TBPが有効を示す患者の特徴を明らかにしていくことが,医療経済の観点からも重要と考えられる。

  • 北條 貴子, 水野 馨子, 渋谷 孝起, 市川 千洋, 柿沼 翔太, 杉村 友紀, 太田 悠介, 瀧口 徹也, 中川 雅裕
    2024 年 39 巻 3 号 p. 278-286
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル 認証あり

    基底細胞癌(basal cell carcinoma:BCC)は7割以上が顔面に発生するとされ,その組織型から結節型,表在型,浸潤型,斑状強皮症型,微小結節型などに分類される。浸潤型,斑状強皮症型,微小結節型は高リスク群に分類され5~10 mmの切除マージンが推奨されている。しばしば再建が必要となるが,顔面に好発する特徴からそのテクスチャーや立体構造までを考慮した再建方法を選択することが重要である。今回我々は,微小結節型基底細胞癌の2例を経験した。1例目ではワイヤーフレーム外固定法を用いた植皮による再建を,2例目では鼻唇溝皮弁による再建を行った。いずれも機能面,整容面において良好な結果を得られたため報告する。

  • 竹林 宏朗, 小島 有紗, 後藤 範子, 横見 明典
    2024 年 39 巻 3 号 p. 287-292
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル 認証あり

    78歳,女性。鼻尖部から鼻翼にかけて10 mm大の褐色腫瘤病変あり。87歳,男性。左鼻翼部に12 mm大の褐色腫瘤病変あり,共に皮膚生検にて基底細胞癌と診断。

    マージン3 mmにて局所麻酔下に切除施行,人工真皮を固定し手術終了。病理組織学的に断端陰性を確認後に2期再建として耳介よりの軟骨を含む複合組織移植を施行し,共に良好な結果を得た。複合組織移植は移植片の特性から移植後の血流が乏しくなるため,いかに移植片への血流を保つかが重要であり,自験例でも接地面が最大となるように移植片の耳介よりの採取部位含めて工夫した。また自験例は移植時には共に15 mm大以内の皮膚欠損であり,比較的安全に移植可能なサイズであった。

  • 後藤 範子, 小島 有紗, 竹林 宏朗, 横見 明典
    2024 年 39 巻 3 号 p. 293-298
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル 認証あり

    86歳,男性。左こめかみ潰瘍および右側頭部腫瘤を主訴に当科紹介受診となった。初診時,左こめかみに27×23mm大の周堤を伴う潰瘍形成を認め,また左顔面神経側頭枝領域に神経麻痺を認めた。右側頭部には22×18mm大の表面びらんを伴う腫瘤を認めた。生検にて共に基底細胞癌と診断した。左こめかみ病変は画像所見にて前耳介筋・側頭筋膜近傍まで腫瘍浸潤を認めた。全身麻酔下に左こめかみ病変は前耳介筋・側頭筋膜を含めて切除,右側頭部病変は帽状腱膜を含めて切除を施行し,共に植皮術にて一期的に再建した。病理組織学的に,左こめかみ病変は斑状強皮症型,浸潤型であり,神経周囲浸潤像を認めた。上記症例に関して若干の文献的考察を交えて報告する。

  • 木村 エレナ, 濱田 利久, 伊藤 一真, 乗松 雄大, 赤塚 太朗, 森村 壮志, 渡辺 玲子, 小無田 美菜, 林 雄一郎, 菅谷 誠
    2024 年 39 巻 3 号 p. 299-305
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル 認証あり

    69歳,女性。2015年から躯幹四肢に紅斑が出現し,難治のため2022年12月に当院を受診。鱗屑が著明で紅皮症を呈していた。血液検査でWBC 7,670/µL(好酸球8.7%,異常リンパ球0%),可溶性IL-2受容体2,030 U/mL,LDH 168 U/L,抗HTLV-1抗体陰性。病理では真皮上層に帯状に小型リンパ球が浸潤しており,一部表皮内にも浸潤していた。表皮内に浸潤するCD3陽性細胞はCD4優位であった。PCR法によるT細胞受容体遺伝子再構成検査でクローンを認めたが,末梢血ではクローンを認めなかった。紅皮症型菌状息肉症と診断し,ステロイド外用に加えてエトレチナート40mg,PSL10mg内服を開始。PETで両腋窩リンパ節,両鼠径リンパ節,左外腸骨リンパ節にFDG異常集積あり。左鼠径リンパ節の病理ではCD30,CD15陽性の大型細胞の浸潤を認め,結節硬化型ホジキンリンパ腫Ⅲ期と診断。A-AVD療法を開始したが,有害事象により3コースで終了。紅皮症は改善し,PSLを中止して経過観察中である。

  • 髙地 由奈, 川原 祐, 山本 洋輔, 髙地 祐輔, 岸本 充, 猪爪 隆史
    2024 年 39 巻 3 号 p. 306-311
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル 認証あり

    70歳,男性。6年前より右臀部に腫瘤が出現し,徐々に拡大した。初診時には80×80 mm大の易出血性紅色腫瘤を認め,皮膚生検で脂腺癌と診断した。CTで右鼠径リンパ節,右外腸骨リンパ節,右閉鎖リンパ節に腫大を認めた。原発巣拡大切除と右鼠径・外腸骨・閉鎖リンパ節郭清を施行するも,術後6ヵ月で右閉鎖リンパ節に再発した。原発組織を用いて包括的ゲノムプロファイリング検査を施行したところ,MSI-High,TMB-High,MSH2のナンセンス変異が判明し,ペムブロリズマブの使用が推奨された。3回投与後の治療効果判定は部分奏効であった。以降,開始から1年となる現在まで増悪なく同治療を継続している。Muir-Torre症候群を想起すべき既往歴や家族歴のない孤発性の脂腺癌であっても,MSI-Highを示して抗PD-1抗体薬が奏効する場合があるため,包括的ゲノムプロファイリング検査の積極的な施行が望まれる。

第39回日本皮膚悪性腫瘍学会
  • 深水 文惠, 鍬塚 大, 市来 澪, 室田 浩之
    2024 年 39 巻 3 号 p. 312-317
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル 認証あり

    46歳,女性。先天性緑内障,手足爪の脱落,大動脈弁狭窄症を併存していた。初診2年前より右踵の角化が生じ近医皮膚科で加療されていた。初診1ヵ月前より一部に肉芽様紅色結節が生じ当科紹介となった。右踵に5 cm大の紅色腫瘤がみられ,皮膚生検の結果,紡錘形細胞型有棘細胞癌と診断した。画像検査で右膝窩,右鼠径にリンパ節転移が指摘された。初診3週後,腫瘍は13 cm大に増大した。意識障害を伴い,PTHrP(parathyroid hormone-related protein)が上昇していた。可及的に右大腿切断術を施行し血清Ca値は正常域となった。転移巣に対し放射線治療を施行したが,経過中,著明な白血球数上昇,G-CSF(granulocyte-colony stimulating factor)上昇を認めた。その後,イリノテカン単剤療法を1コース施行したが,病勢悪化に伴い初診4ヵ月後に永眠した。

投稿論文
  • 晴木 健人, 福本 毅, 原田 朋佳, 小野 竜輔, 久保 亮治
    2024 年 39 巻 3 号 p. 318-323
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル 認証あり

    症例は74歳,女性。初診の約3年前から後頸部に瘙痒を伴う米粒大の常色丘疹が出現し,次第に範囲が拡大した。当科受診時には広範囲に毛包一致性の丘疹を認め,鳥肌様の局面を一面に形成していた。病理組織学的検査では,毛包内,毛包周囲に核の大小不同を伴うリンパ球の浸潤や,好中球,好酸球などの炎症細胞の稠密な浸潤がみられた。毛包内,毛包周囲に裂隙を認め,Alcian blue染色が裂隙に一致して陽性であり,ムチン沈着と考えられた。臨床像や病理組織像から毛包向性菌状息肉症(folliculotropic mycosis fungoides:FMF)と診断した。FMFは古典的MFより治療抵抗性で予後不良とされている。腫瘍浸潤が深いFMFにPUVA療法単独では治療効果が得られにくく,レチノイド内服もしくはインターフェロン静注とPUVA療法の併用が有効であることが示唆されている。自験例ではレチノイド内服とPUVA療法の併用が奏効した。

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