50代,男性。初診の約35年前から肛門外側に結節を自覚し,排膿を伴うようになり受診した。初診時,肛門外側皮膚の2~5時方向に2.5×1.4 cmの内部に潰瘍を伴う黒色扁平結節を認め,下床には硬結を伴っていた。会陰部に7 mm大の皮下結節を触知した。皮膚生検では,異型を示す基底細胞様細胞が索状・胞巣状かつ角化を伴いながら深部へ浸潤増殖しており,basosquamous carcinomaを疑った。そのため,会陰部の皮下結節の切除生検と鼠径センチネルリンパ節生検を行った。会陰部の皮下結節には原発巣と同様の腫瘍細胞を認めin-transit転移と考えた。センチネルリンパ節は陰性であった。原発巣を切除したところ,生検と同様の腫瘍細胞を認め,basosquamous carcinomaと診断した。
Basosquamous carcinomaは頭頸部に好発する腫瘍であり,肛門周囲発生例は稀である。悪性度が高いため,注意深い身体診察および画像的評価が必要であり,長径2~3 cm以上で所属リンパ節腫大がない場合には,SCCと同様にセンチネルリンパ節生検が推奨されている。
抄録全体を表示