抄録
患者は81歳,男性。主訴は左陰囊腫瘍。現病歴は2013年1月頃より左陰囊に腫瘤を認めていた。徐々に大きくなってきたため,2013年10月近医受診し,精査,加療目的に2013年11月に和医大皮膚科を紹介となった。左陰囊に径3 cm大の有茎性の桑実状赤色腫瘤を認め,周囲に境界明瞭な紅斑を認めた。病理組織学的には,腫瘤は真皮乳頭部に泡沫細胞が集簇し,その周辺の表皮内にPaget細胞の増殖を認めた。外陰部Paget病にverruciform xanthomaが合併したと考えられた。 腫瘤を含めて,紅斑より1 cmマージンをとり,肉様膜上で全切除し,縫合した。断端は陰性で,Paget細胞は腫瘍の基部まで存在していた。 外陰部Paget病にverruciform xanthomaが合併した症例は我々が調べえた限りでは他に2例の報告がある。今回我々はこのような稀な症例を経験したのでその概要を報告する。またhuman papilloma virus(HPV)の免疫染色を行ったが陰性であり,HPVは病因的には直接的関連はないと思われた。