38歳,女性。約1年前より右大腿内側部の皮下腫瘤を自覚,徐々に増大傾向であったため,平成25年8月に当科外来初診。右大腿内側部に約30 mm大の比較的境界明瞭,弾性軟の皮下腫瘤がみられた。平成25年12月,局所麻酔下で皮下腫瘍摘出術施行。術中,境界明瞭な暗赤色に透見される,被膜を有する多房性皮下腫瘤がみられた。病理組織像は,大部分は内腔に粘液を溜める粘液状腫瘍で,紡錘形から星芒状の腫瘍細胞が粘液基質と癒合状の毛細血管を伴いながら増殖。大小の空胞状胞体を有する脂肪芽細胞が多数混在していた。粘液型脂肪肉腫の診断。整形外科にて平成26年2月,前回手術痕より2 cm離して皮膚を切除。深部は内転筋とハムストリングの筋膜をつけて切除。術後7ヵ月経過時点で,再発・転移の所見はない。2000年から2013年の粘液脂肪肉腫の本邦報告例をまとめ考察を加えた。