2017 年 31 巻 3 号 p. 227-232
隆起性皮膚線維肉腫(dermatofibrosarcoma protuberans:DFSP)は,転移は稀であるが局所再発の多い皮膚間葉系腫瘍として知られている。病理組織像は真皮から皮下組織にかけて,異型の乏しい紡錘形細胞がstoriform patternを呈しながら増殖し,CD34が陽性であることが特徴である。DFSPには上記の組織型以外に様々な組織亜型が存在し,典型的なstoriform patternが混在すれば診断は比較的容易であるが,ほぼすべてを亜型が占めている場合は診断に苦慮する。今回我々は,68歳,男性に生じた右大腿部の新生児頭大の有茎性の腫瘍で,組織学的にmyxoid typeを示したDFSPの症例を経験した。診断にはCOL1A1-PDGFB融合遺伝子の検出が有用であった。