Skin Cancer
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一般演題
熱傷瘢痕に複数回有棘細胞癌と悪性黒色腫が生じた1例
沢田 広子小森 敏史浅井 純竹中 秀也加藤 則人
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2020 年 35 巻 2 号 p. 52-57

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抄録

70歳,男性。17歳時に両下腿に熱傷を受傷し,保存的に治療された。51歳時に当科で右足背外側の熱傷瘢痕部に生じた有棘細胞癌に対し,皮膚悪性腫瘍切除術,分層植皮術,右鼠径リンパ節郭清術および術後化学療法を施行された。66歳頃から右足背の植皮部辺縁にびらんが出現し,当科へ再度受診した。皮膚生検にて有棘細胞癌と診断し,腫瘍切除術および全層植皮術を施行した。術後1ヵ月の再診時に右足内踝の熱傷瘢痕内に角化性病変を生じた。腫瘍切除術および全層植皮術を施行し,表皮内悪性黒色腫の診断であった。表皮内悪性黒色腫の術後2年3ヵ月で前回手術部位の近傍に皮膚潰瘍が出現した。腫瘍切除術および全層植皮術を施行し,悪性黒色腫Stage Ⅱa(pT2bN0M0)と診断した。

熱傷瘢痕は悪性腫瘍の発生母地となるが,悪性黒色腫が発生するのは稀である。長年にわたり複数回皮膚悪性腫瘍が発生する場合もあり,注意深い経過観察が必要である。

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© 2020 日本皮膚悪性腫瘍学会
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