Skin Cancer
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リンパ節転移を認めた厚さ0.8mmの悪性黒色腫
廣瀬 寮二山岡 俊文楠本 美奈子
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2007 年 22 巻 1 号 p. 77-80

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抄録

66歳男性が右足底の15×22mmの黒色斑を主訴に受診した。左右非対称性, 辺縁不整, 色調は一様であるが濃黒色を呈した。表在リンパ節の腫大はなかった。臨床所見から悪性黒色腫と診断したため, 皮膚生検は行わず広範囲切除を計画した。術前のセンチネルリンパシンチにて右鼠径部に1ヵ所のみ集積を認めた。原発巣の広範囲切除の直前に, 色素法を用いセンチネルリンパ節を1個摘出した。術後の病理検査の結果, 原発巣の腫瘍はわずか0.8mmの厚さで, Clarkのlevel IIであったが, リンパ節の一部に転移を認めた。その後, 腸骨動脈周囲リンパ節におよぶ広範囲の郭清術を施行したが, 郭清されたリンパ節には転移は発見されなかった。また全身のCTにて遠隔転移は発見されなかった。原発巣は1mm以下の薄い腫瘍であったにもかかわらず, すでに転移していたことになる。したがって悪性黒色腫の浸潤癌では厚さに関係なく全例センチネルリンパ節生検をすべきと考えた。

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© 日本皮膚悪性腫瘍学会
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