2011 年 10 巻 6 号 p. 505-507
Retronychia の3例を報告した。全例第1趾爪に生じ,他医により抗菌薬の投与が行われていたが,軽快しなかった。本症はなんらかの外傷により爪甲が不完全な脱落を生じ,爪甲近位部が後爪郭部に留まるために爪甲近位端が後爪郭部腹側面を機械的に刺激し後爪郭炎を生じるものである。後爪郭部の発赤,腫脹,疼痛とともに爪甲が伸びなくなるのが特徴である。抗菌薬の全身投与は無効であり,治療は爪甲除去術を行うのがよい。(皮膚の科学,10: 505-507, 2011)