皮膚の科学
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症例
  • 宮本 花里奈, 林 綾乃, 筑後 孝章
    2020 年 19 巻 4 号 p. 217-221
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/27
    ジャーナル 認証あり

    36歳,男性。 6 年前から両上眼瞼の浮腫が出現し,鼻部や両頬部にも無症候性紅斑が拡大してきた。血液検査で異常所見はなかった。皮膚の病理組織学的所見では,真皮浅層にリンパ管の拡張と血管・毛包周囲にリンパ球主体の炎症細胞浸潤があり,肉芽腫性変化はみられなかった。Alcian blue 染色で毛包周囲に酸性ムコ多糖の沈着,Toluidine blue 染色で間質に肥満細胞が散在性に多数みられた。以上より Morbihan 病と診断した。経口プレドニゾロン 15 mg/日を 1 ヶ月間服用したが症状は軽快せず,経口ドキシサイクリン 100 mg/日に変更した。内服 3 ヶ月後から両頬部の紅斑は徐々に消退し,12ヶ月後には顔面の皮疹はほとんど消退した。Morbihan 病は決められたガイドラインや治療法はなく,診断や治療に難渋している症例も少なくはない。今回我々は本邦での統計19例と自験例との比較検討を行い,病理組織所見での肉芽腫性変化や肥満細胞の判別が Morbihan 病の治療薬を選択する上で有用な手段となり得ると考えた。 (皮膚の科学,19 : 217-221, 2020)

  • 矢野 翔也 , 大塚 俊宏 , 黒川 晃夫 , 森脇 真一
    2020 年 19 巻 4 号 p. 222-226
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/27
    ジャーナル 認証あり

    49歳,男性。初診 1 ヶ月前より,右鼠径部に暗赤色の紅斑が出現した。初診 1 週間前より,近医にて副腎皮質ステロイド剤および抗生物質外用にて治療が行われるも皮疹は改善しないため当科紹介となった。初診時,右鼠径部に,潰瘍を伴う無痛性の暗赤色局面がみられ,その中枢側にはリンパ節腫脹が認められた。血液検査にて梅毒検査(定性 RPRTP 法)陽性,CRP,可溶性 IL-2 レセプターは高値を示していた。病理組織学的には,真皮内に形質細胞主体の炎症細胞浸潤が認められ,異型細胞はみられなかった。この時点で梅毒が強く疑われ,再度生活歴を聴取したところ 2 ヶ月前に風俗店で性的接触があったことが確認された。詳細な梅毒検査を施行したところ,FTA-ABS IgM が高値であった。以上より,本症例を陰部外下疳と診断した。アモキシシリン 1,500 mg/日にて治療開始したところ,投与39日後には鼠径部の潰瘍局面は大部分が上皮化し,投与89日後には色素沈着を残して瘢痕治癒し,リンパ節腫脹も消退した。陰部外下疳は,口腔内,口唇発生の報告例多いが,鼠径部に発生した報告例は,本邦における過去30年間の中で自験例のみであった。潰瘍を伴う硬結をみた場合,陰部以外に生じた場合でも梅毒を念頭にいれ,生活歴を含めた詳細な問診と梅毒検査を行う必要性がある。 (皮膚の科学,19 : 222-226, 2020)

  • 橋本 彩 , 西山 幸佑 , 濱本 千晶, 国本 佳代, 上中 智香子 , 貴志 知生, 岩橋 吉史 , 村田 晋一 , 神人 正寿
    2020 年 19 巻 4 号 p. 227-232
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/27
    ジャーナル 認証あり

    13歳,女性。 3 歳時より,左薬指の手掌側基部に自覚症状のない常色の結節を認め,徐々に増大をしてきたため当科を受診した。左薬指手掌側の中手指節間関節付近に,表面平滑,紅色調を呈し,弾性硬で,下床との可動性良好の,8mm大の半球状の隆起性結節を認めた。臨床上,神経線維腫を第 一に考え,初診時より約 1 ヶ月後に,脂肪織浅層の深さで切除した。摘出物の病理学的所見では,真皮内にやや境界が不明瞭な充実性病変を認め,異型性が乏しい紡錘形細胞が密に分布し,特定の配列を形成せず,硝子化を伴う膠原線維が増生していることから,良性の紡錘形細胞腫瘍が考えられた。 免疫組織化学染色では,epithelial membrane antigenEMA)が陽性であり,臨床症状および病理学的所見より硬化性神経周膜腫(sclerosing perineuriomasclerosing PN)と診断した。Sclerosing PN は,全軟部腫瘍のうち頻度は低く,若年男性の手指,手掌に好発部位とし,疼痛を伴わず,徐々に拡大傾向を示す腫瘍であり,診断には免疫組織化学染色を含めた病理学的所見が有用である。自験例では,年齢,発症部位,大きさともに臨床的特徴,病理学的所見を満たした症例であったが,初診時に積極的に鑑別疾患としてあげることが出来なかった。若年者の手掌や指に結節を認める症例は,sclerosing PN を鑑別に挙げ,HE 染色で本疾患を疑えば,免疫組織化学染色をする必要があると考えられた。 (皮膚の科学,19 : 227-232, 2020)

  • 横山 恵里奈 , 木岡 茉奈 , 金田 一真 , 穀内 康人 , 谷崎 英昭 , 黒川 晃夫 , 森脇 真一
    2020 年 19 巻 4 号 p. 233-237
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/27
    ジャーナル 認証あり

    41歳,女性。11歳時に下垂体腫瘍に対する放射線治療を受けた。初診の10ヶ月前に頭部に痂皮の付着を伴う潰瘍や結節を自覚した。初診時,径 18 mm までの一部に痂皮の付着を伴う黒色結節や馬蹄形の角化性病変が 4 ヶ所存在していた。皮膚生検にて 4 ヶ所とも基底細胞癌(BCC)の組織所見であった。放射線治療の照射部に一致して存在していたことから,放射性治療後の慢性皮膚障害として生じた多発性 BCC と考えた。近年,放射線照射後に生じた皮膚悪性腫瘍のうち,BCC の報告の割合が増加しつつある。本症例は放射線治療後30年を経過しており,遺伝的な背景も加わり BCC などの皮膚悪性腫瘍の発生リスクが高い状態に陥っていた可能性が示唆された。 (皮膚の科学,19 : 233-237, 2020)

  • 松井 麻里 , 丸山 彩乃 , 小森 敏史 , 浅井 純 , 加藤 則人
    2020 年 19 巻 4 号 p. 238-243
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/27
    ジャーナル 認証あり

    22歳,男性。当院初診 4 年前に左後頸部に生じた皮下腫瘤に対し,他院にて摘出術を施行され,血腫の診断であった。 1 年前より左側頸部に皮下腫瘤を自覚し,増大傾向にあるため当院を受診した。 当院耳鼻咽喉科にて穿刺吸引細胞診が施行された後に皮下腫瘤は急速に増大し,強い疼痛を伴った。 当科にて試験切開による内容物の確認ならびに MRI 所見より,臨床的に chronic expanding hematomaCEH)と診断し,周囲の肉芽組織を含めた全摘術と分層植皮術を施行した。病理組織学検査でも CEH に矛盾しない所見であった。CEH は二次的に軟部悪性腫瘍を生じた報告があり,周囲組織を含めての完全切除が望ましいと考える。また,成因として染色体異常の可能性も近年報告されており,今後の症例の蓄積が期待される。 (皮膚の科学,19 : 238-243, 2020)

  • 藤本 真由 , 夏秋 優 , 永井 諒 , 今井 康友 , 山西 清文
    2020 年 19 巻 4 号 p. 244-250
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/27
    ジャーナル 認証あり

    20歳,男性。初診の半年前に感冒症状に対し,近医内科でレボフロキサシン,ロキソプロフェンナトリウム(以下,ロキソプロフェン),およびメキタジンを処方された。内服を開始して 1 週間後に膨疹が多発したためセチリジン塩酸塩を処方され,翌日には改善した。その 3 ヶ月後に,感冒症状でレボフロキサシンとロキソプロフェン服用後に膨疹と呼吸困難感が出現したが,セチリジン塩酸塩内服で改善した。初診の 2 週間前に感冒症状に対してレボフロキサシン,ロキソプロフェンを服用した30分後に全身の瘙痒,発赤,膨疹,呼吸困難感,嘔気が出現し救急搬送された。治療を受け,症状回復後,薬剤アレルギー精査目的で当科を紹介されて受診した。入院の上でレボフロキサシン,ガレノキサシン,セフカペンピボキシル,ロキソプロフェンを用いたスクラッチテストを行ったところ,15 分後にレボフロキサシンで陽性反応を認めた。ロキソプロフェンによる内服テストは陰性であった。 以上より,自験例をレボフロキサシンによるアナフィラキシーと診断した。自験例ではレボフロキサシンによる好塩基球活性化試験を施行したが陰性で,診断には皮膚テストが有用であった。しかしニューキノロン系抗菌薬による即時型アレルギーにおける皮膚テストや好塩基球活性化試験の陽性率は高くないとされており,皮膚テストが陰性の場合は内服テストが必要と思われる。 (皮膚の科学,19 : 244-250, 2020)

  • 藤本 真由 , 今井 康友, 永井 諒 , 夏秋 優 , 山西 清文
    2020 年 19 巻 4 号 p. 251-256
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/27
    ジャーナル 認証あり

    ヒト型抗ヒト IL-23p19 モノクローナル抗体であるグセルクマブは,本邦では乾癬には20185 月より使用されているが,実臨床における有効性の報告はまだ少ない。そこで,当院では20203 月末までに尋常性乾癬の患者23名(男性17例,女性 6 例)の患者にグセルクマブの投与を行ったので報告する。年齢の平均±標準偏差は58.8歳±13.2。乾癬の平均罹患年数は18.9年±8.3。グセルクマブ投与前の平均の皮疹面積は19.1%±16.1Psoriasis Area and Severity IndexPASI)スコアは 15.0± 9.9 であった。生物学的製剤の投与歴については,投与歴なし(バイオナイーブ) 9 例,投与歴ありバイオスイッチ)14例であった。バイオスイッチした14例のうち,ウステキヌマブから変更した患者が最も多く 8 例であった。効果は,投与28週までに PASI 75 を達成した症例は69.6%(16/23例),PASI 90 を達成した症例は47.8%(11/23例)であったが,バイオナイーブの症例に限れば PASI 75 を達成した症例は88.9%( 8/9 例),PASI 90 を達成した症例は77.8%( 7/9 例)と,高い効果を認めた。副作用としては, 1 例で T スポットR TB が判定保留になる検査値異常を認めた。以上から,グセルクマブは実臨床においても尋常性乾癬の治療に有用であると考えた。 (皮膚の科学,19 : 251-256, 2020)

  • 有馬 亜衣 , 宮下 和也 , 西川 美都子 , 西村 友紀, 小川 浩平 , 宮川 史 , 新熊 悟 , 浅田 秀夫
    2020 年 19 巻 4 号 p. 257-262
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/27
    ジャーナル 認証あり

    50歳,男性。睡眠障害に対してモダフィニル(モディオダールR ),フルニトラゼパム(サイレースR ),クロルプロマジン塩酸塩(コントミン糖衣錠R )の内服を開始し,約 3 週間後に発熱,胆汁うっ滞型の肝障害が出現した。内服薬を中止したが,肝障害が増悪し,皮疹も出現したためステロイドハーフパルス療法を施行された。さらに後療法としてプレドニゾロンを内服していたが肝障害が遷延し,皮疹は寛解と増悪を繰り返した。経過中にヒトヘルペスウイルス 6 とサイトメガロウイルス(CMV)の再活性化を認め,CMV による皮膚潰瘍が出現した。ニューモシスチス肺炎のため発症13 週目に呼吸状態が悪化し発症16週目に死亡した。薬剤性過敏症症候群による致死的合併症として,CMV 感染症のみならずニューモシスチス肺炎も念頭におく必要があると考えられた。 (皮膚の科学,19 : 257-262, 2020)

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