抄録
症例は40歳代女性で,てんかん発作の後にカルバマゼピンが投与された1ヶ月後より感冒様症状があり,頸部リンパ節の腫脹や発熱を伴って全身に紅斑が拡大したため当科入院となった。薬剤性過敏症症候群と考えプレドニゾロン 60mg/日より高用量ステロイド内服治療を行うも,皮疹および低ガンマグロブリン血症が遷延し,膵逸脱酵素の上昇も持続的に認められた。また,カルバマゼピンでパッチテスト陽性を示したが,薬剤リンパ球刺激試験では病初期のみ陽性を示した。自験例では経過中にヒトヘルペスウイルス6の再活性化を認めず,抗サイトメガロウイルス IgM が高値を持続したことから,サイトメガロウイルス感染が遷延する病態に寄与したのではないかと推定した。(皮膚の科学,15: 327-331, 2016)