皮膚の科学
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症例
経過中に胃腸炎を発症した IgA 血管炎の 2 例
吉田 裕梨土井 知江岡村 理沙横見 明典
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2019 年 18 巻 2 号 p. 85-93

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抄録

症例 1:20歳代,女性。初診の 4 日前から両下腿に紫斑が多発し,当科初診。皮膚生検より IgA 血管炎と診断し,diamino-diphenyl sulfone(以下 DDS75 mg/日を内服開始した。紫斑は一旦消退したが再発し,腹痛,下血,嘔吐を伴った。腹部 CT,下部消化管内視鏡検査で小腸に腸炎を認めたが,出血源は同定できなかった。Prednisolone(以下 PSL)の投与にて紫斑,腹部症状とも改善した。症例 2:60歳代,男性。初診の 3 日前から両下肢に紫斑,関節痛を自覚した。紫斑の拡大,嘔吐,下痢を認めたため,当科に入院となった。皮膚生検より IgA 血管炎と診断し,DDS 75 mg/日を内服開始した。入院 6 日目から心窩部痛を認め,腹部 CT,上下部消化管内視鏡検査を施行すると,胃,小腸,大腸と広範囲に炎症を認めた。メチルプレドニゾロンパルス療法にて腹部症状は改善し,その後のPSL投与にて紫斑は消退した。IgA 血管炎に伴う消化管病変は全消化管に認めうるため,病変検索には消化管内視鏡検査が有用であると考えた。 (皮膚の科学,18 : 85-93, 2019)

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© 2019 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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