2021 年 20 巻 1 号 p. 41-45
79歳,男性。初診時の約10年前より陰茎部にびらんの出現,消退を繰り返していた。 1 ヶ月前より陰茎からの出血と疼痛を自覚し,前医を受診した。陰茎包皮に易出血性の変化を認め,精査加療目的にて当科紹介受診となった。初診時,陰茎,包皮の全体約 2/3 を弾性軟,軽度隆起性,易出血性の変化が取り囲んでいた。陰茎左側には小豆大の柔らかい紅色有茎性病変が存在し,亀頭部背側には発赤,びらん,刺激痛を認めた。病理組織学的には表皮の欠損,真皮内には多数の形質細胞やヘモジデリン沈着,炎症性肉芽組織を認め,以上から本症例を開口部形質細胞症と診断した。陰茎,亀頭部の隆起性変化をみた場合,開口部形質細胞症をも念頭に入れ,積極的に病理組織学的アプローチをすべきと考えられた。 (皮膚の科学,20 : 41-45, 2021)