2021 年 20 巻 2 号 p. 115-121
結節性筋膜炎の 3 例について報告する。症例 1:53歳女性の左前腕屈側, 7 日前に発症,生検後消退。症例 2:29歳女性の右前腕屈側,10日前に発症,生検後消退。症例 3:64歳女性の左前腕屈側,発症時期不明,核出後再発なし。病理組織は全例において脂肪小葉間隔壁から小葉内にかけて指状突起を呈する不規則形の結節性病変で,大小不同の紡錘形細胞が増殖している。症例 1 では粘液様基質を背景に,緩やかな花むしろ状配列がみられた。症例 3 では膠原線維が増生し,破骨型多核巨細胞がみられた。免疫組織化学的には,全例において α-smooth muscle actin 陽性,desmin 陰性,CD34 陰性を示していた。Ki-67 標識率は症例 1 および症例 2 において20%,症例 3 においては 2 %であった。症例 3 における Ki-67 標識率は過去の報告に比して低値であったが,切除時すでに晩期病変であった可能性が推察される。結節性筋膜炎の Ki-67 標識率について一定の見解を得るためには,更なる症例の蓄積を要する。 (皮膚の科学,20 : 115-121, 2021)