皮膚の科学
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症例
先天性筋強直性ジストロフィー患者に生じた Polypoid Basal Cell Carcinoma の 1 例
津田 真里谷村 裕嗣島田 早織大西 早百合四十万谷 貴子長野 奈央子中丸 聖槇村 馨清原 隆宏
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2021 年 20 巻 2 号 p. 92-96

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抄録

32歳,男性。出生時に先天性筋強直性ジストロフィーと診断された。数ヶ月前に陰茎の出血を伴う結節に気づき,徐々に増大してきた。陰茎基部に 20×13 mm 大の黄褐色の有茎性結節が認められた。 ダーモスコピー像では blue-gray ovoid nestsshiny white areas を認めた。病理組織学的に,腫瘍はポリープ状結節内に限局し,不規則形の好塩基性細胞の胞巣が表皮から真皮にかけて増殖していた。腫瘍細胞は,円形から楕円形でクロマチンに富む異型な核を有し,辺縁で柵状配列を認めた。また腫瘍胞巣と間質の間に裂隙,周囲にムチンの沈着を認めた。以上より,polypoid basal cell carcinoma と診断した。筋強直性ジストロフィーに合併する皮膚腫瘍としては多発性石灰化上皮腫が知られているが,近年では basal cell carcinoma との合併が報告されてきている。しかしながら,我々が調べえた限り polypoid basal cell carcinoma を合併した報告例はない。発症のメカニズムには不明であり,今後,更なる症例の蓄積が期待される。 (皮膚の科学,20 : 92-96, 2021)

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© 2021 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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