2022 年 21 巻 3 号 p. 240-245
我々は,胃切除, 1 型糖尿病,慢性膵炎,慢性肝炎などの既往歴・基礎疾患がある患者に併発した壊死性遊走性紅斑を経験した。症例は48歳,男性。初診 2 週間前に近医にて足白癬と診断され抗真菌薬を外用開始したところ,足の発赤・腫脹と水疱形成が出現したため当科を受診した。当初接触皮膚炎を疑い治療を行ったが症状の改善に乏しく,外用薬とパッチテストパネル○R によるパッチテストは陰性で血液検査ではアルブミンが低値であった。既往に十二指腸潰瘍(B-Ⅰ再建後),併存症に 1 型糖尿病,慢性膵炎,慢性肝炎があったため,栄養障害による皮膚疾患を疑いアミノ酸解析を行ったところ多数の必須・非必須アミノ酸が低下していた。組織学的には錯角化,有棘細胞層に細胞内浮腫と好酸性壊死,表皮内水疱が認められ,壊死性遊走性紅斑と診断した。グルカゴノーマは合併していなかった。本症例は,初診時のエピソードと皮疹が接触皮膚炎を強く疑わせるものであったこと,経過中様々な皮疹を呈したことが特徴的であった。 (皮膚の科学,21 : 240-245, 2022)