皮膚の科学
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症例
遺伝性対側性色素異常症の孤発例
黒崎 友木穂川島 晴菜太田 朝子宮﨑 明子中島 武之齊藤 亨岡村 賢鈴木 民夫越智 沙織
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2024 年 23 巻 4 号 p. 301-306

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抄録

7 歳,男児。祖父母や両親,妹,その他の近親者に同症はなし。 6 歳頃より顔面の雀卵斑様の色素斑と手背・足背に色素斑が出現し,次第に色素斑と脱色素斑が多発した。初診時,顔面に雀卵斑様の色素斑を認め,四肢末梢優位に米粒大までの点状色素斑と脱色素斑が密に混在していた。病理組織学的所見において色素斑部では基底層のメラニン増生を認め,一方で脱色素斑部ではメラノサイトが減少し,メラニンの沈着を認めなかった。患児および家族の遺伝子検査を行い,患児のみに ADAR c.1078CTp.Arg360Ter)のヘテロ接合性変異が同定され,遺伝性対側性色素異常症の孤発例と診断した。現時点で皮疹の大きな変化はないが,手背の色素斑と脱色素斑は日焼けによるコントラストの増強を認めているため,遮光方法を指導し経過観察している。遺伝性対側性色素異常症は常染色体顕性遺伝性疾患であるが,孤発例の報告もあり,他の遺伝性色素異常症を鑑別するために遺伝学的解析は有用である。自験例は小児であるため,両親が遺伝カウンセリングを受けた。今後も患児の成長に合わせて臨床症状を観察し,必要な場合には家族とともに遺伝カウンセリングを受けられるように,長期的に支援しながらフォローアップしていく必要がある。 (皮膚の科学,23 : 301-306, 2024)

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© 2024 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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