皮膚の科学
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第3~4回 これからの皮膚科診療を考える会
ケロイド・肥厚性瘢痕に対する最新の保存的治療
小坂 正明
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ジャーナル 認証あり

2004 年 3 巻 6 号 p. 628-636

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抄録

ケロイド・肥厚性瘢痕の保存的治療について最近の動向を解説した。
圧迫療法:ケロイド・肥厚性瘢痕治療の第1選択と考える。速やかに装着を開始する,操作が簡便,コンパクトである,などが重要である。
ステロイド療法:隆起の強い瘢痕に用いるが,皮下組織の萎縮,毛細血管拡張症など副作用を認めればシリコンゲルシート療法に切り替える。
Tranilast内服療法:若年者,新鮮例,隆起・赤みが強い例で有効性が期待される。頻尿などの膀胱刺激症状が数%に見られるが重篤例はない。効果発現まで2~4週を要する。
放射線療法:ケロイド切除後に電子線を照射することで再発抑制効果は高い。しかし,ケロイド抑制効果は100%ではないこと,色素沈着が生ずる可能性があること,発癌性が否定できないことを事前に説明しなければならない。
シリコンゲルシート療法:作用機序は明確ではないが肥厚性瘢痕の予防効果は注目に値する。装着後,数ヵ月間で瘢痕の軟化,色調,厚みの順に効果が発現する。開始時期は早いほど良く,筆者は創が上皮化した直後から使用している。欠点として湿疹の発生のほか,小児では脱落しやすく経済面の問題がある。

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© 2004 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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