抄録
ステロイド外用薬はアトピー性皮膚炎治療の薬物療法として重要な位置を占めるが,使用に際して患者(保護者)の不安は大きく,また,医師の側においても不適切な使用がなされている場合もあり,必ずしも完成された薬剤とはいえない。小児アトピー性皮膚炎治療における現時点でのステロイド外用薬の問題点を7項目あげ,筆者の施設での臨床データおよび文献的検討をもって回答を試み,さらに残されている問題点を今後の検討課題として提示した。7項目とは,1.対症療法であるとの認識があるか? 2.全身および局所副作用の確認 3.必要な期間の見通しはどのくらいか? 4.ステロイド外用薬はアトピー性皮膚炎の予後を悪化させないか? 5.ステロイド治療に抵抗性の症例の検討 6.適切な外用がおこなわれているか? 7.外用の適応でない皮膚症状の存在の7点である。