2008 年 7 巻 6 号 p. 665-671
症例1: 64歳,女性。2007年7月胃癌に対して胃全摘術を施行,術後胸水貯留と感染を合併したが抗生剤投与にて改善した。同年8月より両下肢に紫斑が出現した。
症例2: 78歳,女性。6年前より慢性腎不全にて透析中であった。2007年8月より出現した不明熱,CRP高値に対して近医にて抗生剤投与を受けた。同年9月両下腿に紫斑が出現した。腫瘍マーカー上昇,アスペルギルス抗原陽性,縦隔リンパ節腫大を認めた。両症例ともに臨床所見に加え組織学的に真皮血管のフィブリノイド変性と血管周囲の核破砕物がみられ,蛍光抗体法にて血管へのC3, IgAの沈着を認めたため,アナフィラクトイド紫斑と診断した。同症の発症誘因として悪性腫瘍,外科的侵襲,感染,慢性腎不全などが考えられた。