皮膚
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皮膚疾患と血中過酸化脂質
特にパントシンの及ぼす生化学的効果
早川 律子上田 宏
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1972 年 14 巻 5 号 p. 386-391

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抄録

尋常性座瘡, 酒皮, 肝斑, 女子顔面黒皮症, 尋常性乾癬, アトピー性皮膚炎, 顔面湿疹, 合計22例にパントシン400mg/日ないし180mg/日を経口投与し, その生化学的効果, 臨床的効果を観察した。血中総脂質量に及ぼす効果は認められなかったが, 血中過酸化脂質量および総脂質量に対する過酸化脂質量の比はパントシン投与によって改善された。また臨床的効果は血中過酸化脂質量の改善, 過酸化脂質量の総脂質量に対する比の改善とともに認められ, 相関があると考えた。以上よりパントシンは, 血中総脂質量の改善を目的とするよりは, むしろ血中過酸化脂質量の改善を目的とし, ひいては臨床症状の改善を期待出来得る薬剤として使用されるべきと考える。

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© 日本皮膚科学会大阪地方会
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