1981 年 23 巻 1 号 p. 29-54
類天疸瘡28例について, その実態を知るべく臨床所見および免疫螢光所見の検討を行った。21例が水疱性類天疱瘡, 5例が限局性慢性類天疱瘡, 2例が瘢痕性類天疱瘡であった。一般検査所見では半数に末梢好酸球増多を示し, 皮疹の増悪に一致する以外, 異常所見をみなかった。治療はsteroid内服療法が有効であった。免疫螢光所見では, 水疱性類天疱瘡において直接法でIgGの沈着を39%, C3の沈着を73%に認めた。抗基底膜部抗体は88.9%にみられ, 抗体価と皮疹とは76%に相関を示した。補体結合能は61%にみられた。限局性慢性類天疱瘡では1例にのみC3の沈着をみ, 抗基底膜部抗体は陰性であった。瘢痕性類天疱瘡2例では抗基底膜部抗体弱陽性を示した。これらより, 類天疱瘡は様々の表現を示すが, 同一基盤上に位置する症候群であると考えられた。