皮膚
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砒素混入ドライミルクによる点状白斑
坂田 美緒子村野 早苗川津 智是西田 健樹
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1981 年 23 巻 4 号 p. 372-377

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抄録

昭和30年, 西日本を中心に発生した砒素混入ドライミルク中毒症に罹患し, 小児期より特徴的な点状白斑が発現した, 25歳男性例を報告した。白斑は1-2mm大で, 頭部, 顔面を除く全身に播種し, 下腿では癒合するが, 毛孔周囲には健常皮膚色を残す。剥離表皮DOPA法でDOPA陽性細胞数の減少は明らかでないが, その形状は小型で, 樹枝状突起が少なく, DOPA活性低下が示唆された。また電顕的所見では不活性メラノサイトが多く, 一部変形像もみられた。これらの所見から, 自斑の成因は主としてメラニン合成低下によると推定した。本症例の形態的所見は老人性白斑に類似する点が多く, 加齢に伴う症状の進行が予測される。

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© 日本皮膚科学会大阪地方会
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