抄録
皮膚血管腫の個々の病型の本態を明らかにし, 病型相互間の異同を指摘し, 出来うれば将来の新しい分類を試みる目的でもって電子顕微鏡的に研究をおこない, すでに, ポーワイン母斑, 苺状血管腫, 毛細血管拡張性肉芽腫と蔓状血管腫について報告した。
本編では加齢とともにその発症頻度を増すruby spot 17例, venous lake5例を観察し, 次の結論を得た。Ruby spotの組織発生機序として単なる毛細血管拡張, 反応性の血管増殖, 真性の血管性腫瘍の3つが論じられているが, 本研究の微細構造所見より, 本症は他の血管性腫瘍と並列されるべき一種の遅発性血管腫と考えた。Venouslakeは既存の静脈の拡張と静脈の腫瘍性増殖の2つが論じられているが, 本症は皮膚に発生する一種の静脈瘤であろうと推論した。