皮膚
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結節性紅斑における免疫組織学的並びに血液凝固・線溶能に関する検討
細井 洋子
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1983 年 25 巻 3 号 p. 325-338

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抄録

結節性紅斑の新鮮な皮疹を有する20名と陳旧性皮疹を有する10名について, 皮疹を光顕および螢光抗体直接法で観察し, 同時に血液凝固・線溶能を検索した。新鮮な皮疹では, 真皮深層から皮下脂肪織に好中球, リンパ球, 組織球の浸潤, 血管壁への細胞浸潤と内腔の狭小化がみられ, 15名に血管壁へのC3の沈着が認められた。陳旧性皮疹では巨細胞を混じるリンパ球, 組織球の浸潤がみられ, 螢光抗体法は全例陰性であった。新鮮な皮疹の出現時には血漿fibrinogenの著増, α1-antitrypsin, antithrombin IIIの増加, 数例でELTの延長がみられた。以上より本症の病態はtransient immune complex vasculitisと考えられ, 皮疹発生早期に存在する高fibrinogen血症, 低線溶能状態が病変の成立, 進展に関与する可能性が示唆された。

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© 日本皮膚科学会大阪地方会
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