皮膚
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67Ga-シンチグラフィーで著明な集積像を示した顔面部初発のWegener肉芽腫症の1例
併発肝癌による死亡例
中田 昌克稲田 修平松中 成浩出来 利夫
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1986 年 28 巻 6 号 p. 802-809

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抄録

64才, 農夫。5カ月前からの右鼻橋部から右頬部および左頤部の毛細血管拡張を伴う径4cm大の硬結を訴え受診。26~7年前に事故後の輸血による血清肝炎の罹患があり, AFP値19, 900ng/mlを示したので, 肝癌の皮膚転移を疑い原発および転移性腫瘍精査のため, 67Ga-scintigraphyを施行し, 顔面の硬結部のみに集積像を認めた。顔面からの生検では同部の診断が確定せず, 耳鼻科にて上歯齦部からの生検を受け, 顔面の硬結はWegener肉芽腫症と診断が確定した。本患者の肝硬変から進行した肝癌病巣は99mTc-Sn-colloid scintigraphy, echo像, CT像で見出され, 急激な脳転移により初診後2カ月で死亡, 肝臓部のnecmpsyにより組織学的にEdmondson III型肝癌と確認した。67Gascintigraphyは併存した肝癌病変部に集積像はなく, むしろ高度の炎症所見を示すWegener肉芽腫症の病変に一致して集積し, 本疾患の診断には生検とともに有用な検査であることを見出した。検索範囲内では肝癌併発のWegener肉芽腫症の報告はない。

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© 日本皮膚科学会大阪地方会
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