74歳, 男。総胆肝結石の経過中に四肢に環状紅斑が出現し徐々に拡大したが, 胆嚢摘出術, 総胆管切開術, 切石術後, 皮疹は急激に消失した。以後皮疹の再発をみない。55歳, 男。直腸癌とその肝転移が認められる患者で右大腿部に紅斑が出現し徐々に遠心性に拡大。皮疹は一旦消失するも再発し肝性脳症で死亡するまで持続。50歳, 女。タチオン, ハイトコバミン, ムスカルムD内服後全身に浮腫性環状紅斑出現。組職所見は全例, 真皮上中層の浮腫, 血管拡張, 血管周囲性細胞浸潤を認めた。以上3例はいずれも遠心性に拡大する環状紅斑であるが, 落屑や浮腫が認められDarierの記載した遠心状環状紅斑とは厳密には一致しない。なおこれらの背景としてそれぞれ肝疾患, 悪性腫瘍, 薬剤が考えられた。
